子役 (2022年)

作品評価 子役に存在する壁。もう少し踏み込んで欲しかった。
少年の出番 堂々の主役です。
お薦めポイント 家出した子役と、ある家族の交流。
映画情報など 2022年制作。U-NEX他で配信中。
写真は大前優樹君。


U-NEXTの配信で鑑賞しました。映画「子役」で検索してもヒットしません。「子役」はタイトルではなく、普通名詞と認識されてしまい、有名な子役さんの映画ばかりが出てきます。それはさておき、子役の壁に少しだけ踏み込んだ作品。34分の短編ですので消化不良の面はありますけれど。

家出したハチ(左)が助けられた家。その家のフウタ(右)はハチに懐いた。一緒にお風呂(ちょっと狭い)

人気子役だったハチ(大前優樹)も今は14歳になり子役の壁なのか仕事は激減。ステージママ?である母が不本意な仕事を取ってきた。ハチはそれが嫌で家出。大雨の中、徘徊老人を助けようとして怪我。気がつくと老人の家にいた。そこには小学生のフウタ(高梨元秀)と姉、祖母、そして老人(祖父)。フウタはハチに懐いて、帰るというハチを引き止める。

フウタは亡くなった父の宝物を老人から貰って欲しいとハチにお願いする。老人は認知症でハチを亡くなった息子(フウタの父)と勘違いしており、ハチは息子になりすまして老人と交渉するがバレてしまう。しかし最後は宝物をみんなに見せる。それは息子が書いた映画の脚本だった。


仕事のないハチに舞い込んだのは「あの人は今...」の子役版。あんなに人気だったのに最近見ない子役を取り上げて、今どうしているの...的な番組。まだ現役のハチにとっては屈辱でしかありません。しかも台本を送ってきます。台本があると言う事は、お涙ちょうだい風の見せ物にするのでしょう。

ハチは家出。ひょんな事から認知症老人の家へ。老人の息子(フウタの父)は、やはり大雨の日に妻(フウタの母)を助けようとして川で亡くなった。ハチと少年時代の息子は似ており、老人は息子が帰ってきたと思っている。それを利用して子役の意地をかけて息子を演じるのですが...。フウタの姉が毒舌。子役ったって大した事ないね。

まずフウタの家族は誰もハチに気づきません。本当に人気子役だったの。しかしさすがに中学生の姉は知っていました。しかしそれもスマホで検索して知っただけ。この少女は嫌味な毒舌家。それでもハチの事を心配はしているようです。

さてハチ役の大前優樹君。あまり感情を出さずに淡々と演じていました。もう少しエモーショナルな部分も欲しかった気がします。一方小学生のフウタ役の高梨元秀君。子どもらしい笑顔で好感が持てました。姉はいるけど兄がいないので、ハチに甘えたい?そんな表情が見事でした。

最後に少しだけネタバレ。亡くなった老人の息子。ずっと映画監督になるのが夢。しかし農家の一人息子なので家を継がせた。そんな負い目が老人にはあったのでしょう。そして出てきた宝物は息子の書いた映画の脚本。これがまぁ...


新井八(エイト)。芸名は同じ字で新井八(ハチ)。
14歳になって仕事が殆ど無くなってしまった。
番組は「懐かしの スター図鑑 元人気子役編」
こんな台本があるんですね。



あてもなく家出したハチ。
豪雨の中、川べりに佇む老人を発見。直後に自分が怪我。
助けてくれた老人の家族。左から祖母、フウタ、姉。
老人(祖父)は認知症だった。



フウタのために一肌脱ぐ事にしたハチ。
老人の息子(フウタの父)になりすますが...
老人は騙されなかった。その上、
ハチに説教する。死んでは行かん。




※後記
主役の大前優樹君。実は演技よりも音楽活動がメイン。ミュージカルや舞台。他には正統派の声楽。なんと第43回全日本ジュニアクラシック音楽コンクール 声楽部門 中学生の部 第1位という素晴らしい実績。これからはミュージカル俳優まっしぐらかも。





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