ぼくときみの小さな勇気 (2022年)

作品評価 障害を持つ少年たちの友情が爽やか。
少年の出番 少年二人が主役。
お薦めポイント 少年二人の友情。表情がいい。
映画情報など 2022年製作。youtubeで無料公開中。
写真は長春駕(ちょう はるか)君。


子どもたちが主役の短編映画を撮り続ける相馬雄太監督作品。Eテレの道徳番組のようなテイストの18分の短編。少年俳優の表情をうまく捉える技術は超一流だと思います。初の長編商業映画が楽しみ。

転校生のケイスケ(左)と、吃音に悩むシンジ(右)

シンジ(長春駕)は小学5年生。吃音があるためか引込み思案な性格で友人もいない。そこへケイスケ(重松俊吾)が転校してきた。シンジと違って明朗で快活な少年だ。いじめられているシンジを庇ってすぐに親友になった。

しかしケイスケにも障害があった。思い通りに字が書けない。それをシンジに告げるが、あくまでも明るく前向き。そして僅かの期間でまた転校。最後の日、ケイスケは黒板に字を書いて障害を告白。そしてシンジが前に出た。クラスがざわつく中、吃りながらも思い込めて贈る言葉を朗読した。


ケイスケの障害はデイスクレシアと呼ばれるそうです。彼の場合は文字を読む事も、学習する事も普通の人と全く変わりはありませんが、なぜか書く事がたどたどしくなるのです。文字の空間把握などが上手くいかないようで、単なる下手とは違います。

障害がある少年同士が仲良くなる。これは下手をするとお互いを憐れむ(大嫌いな言葉ですが、傷を舐め合う)ような関係になりかねません。しかしケイスケの前向きな姿勢をみると、そんな心配は不要でした。ケンジもケイスケに感化されて、一緒に高め合う関係。ビジネス研修では昇華とも言われていました。

シンジ役の長春駕君。すぐ折れてしまいそうな脆い少年の表情から、最後は凛とした表情に。ケイスケ役の重松俊吾君。あまり顔に出さないものの正義感あふれる少年。このまま大人になると若大将のような。その他クラスメイトの少年少女たち。劇団や芸能事務所の美形ばかりなのが違和感ですが、まあいいでしょう。


国語の時間。シンジに教科書の音読みが回ってきた。
みんなのため息。思わず朗読をやめて...
休憩時間は一人で絵を描く。凄く上手い。
みんなが覗き込む。しかしいじめっ子は無視。



転校生のケイスケがシンジに声をかけた。
落ち込んでいるシンジだったが。
ケイスケも自分の障害をシンジに告白する。
それでもケイスケは苦にしていない。



ケイスケはすぐにまた転校。その時シンジが前に出て贈る言葉を朗読した。
最初はざわついていたクラスだったが、シンジの真摯な言葉に胸を打たれていく...



※後記
相馬雄太監督作品ではレビュー済みの『学校の中のシマウマたち』、その他『I am me』『宇宙人がやってきた』など子役さんが主役の短編作品がありますが、いよいよ初の長編商業映画『僕のなかのブラウニー』が2025年1月に劇場公開される予定です。これで監督として一段ステップアップされることを祈ります。





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