ゴールド・ボーイ (2023年)

お薦めポイント オリジナルの中国ドラマにどれだけ迫れるか。
少年の出番 堂々主役。(旧J事務所の押しも目立ちますが...)
映画情報など 2023年製作。BD/DVD発売中。
写真は羽村仁成君。


中国発で世界でも大ヒットした連続ドラマ『 バッド・キッズ 隠秘之罪』を日本でリメイクした作品。ドラマの出来が良かっただけに、日本でわざわざ映画化する事に危惧がありましたが、原作を損なうことなく無難な出来でした。

左から朝陽。幼馴染の浩、その妹の夏月。
(中国版原作では、朝陽、厳良、普普)

朝陽(羽村仁成)は沖縄に住む中学生。夏休みの初日。幼馴染の浩(前出燿志)と夏月(星乃あんな)の兄妹がやってきた。夏月が性的暴行を迫る父を刺して逃げてきたとの事。3人は話し合いの結果、自首する事に。3人は記念に海辺で写真を撮る。その写真(動画)に2人の人間が崖が突き落とされる瞬間が写っていた。

死んだのは資産家の夫婦。犯人は義理の息子 東(岡田将生)だが、事故だと報道されている。朝陽たちは動画をネタに東をユスり始めた。最初は金が目的だったが、夏月の義父母の交換殺人を条件にするなど話は複雑に。最後は東が3人の毒殺を謀るが、朝陽は死んだふりをして東を刺す。全ては東と浩兄妹の相討ちで、朝陽は巻き込まれただけと偽装するが。死んだ夏月の手紙から朝陽の本性がバレた...


2時間を超える長編ですが、12話ある原作ドラマを無理やり詰め込んだ感は拭えません。ただ原作ドラマを見ていない方には、スリルある展開を楽しむことが出来たのではと思います。何の事かよく判らない部分があるにせよ。

原作では3人の少年少女をしっかり描いたのですが、本作は朝陽(原作の中国少年の名前と同じ)にフォーカスを絞っています。これは時間の関係で仕方なかったと思いますし、実際に朝陽中心なので初めての方もストーリーに入りやすかったと思います。

朝陽を演じた羽村仁成君ですが、ここ(2024年の映画賞争い)へきて、新人賞の有力候補の一人に挙げられています。確かに羽村君の演技は素晴らしかったと思います。しかし彼の所属が旧ジャニーズ事務所と聞いて、どうしても偏見を持ってしまいました。

ジャニーズ俳優を出すからには、別事務所で同じ属性の少年俳優を目立たせてはいけない!との不文律?があったのでしょうか。根も葉もない流言だとも思いますが、本作では浩役の前出燿志君の扱いの酷さに驚きました。ちなみに彼はスターダスト所属だそうです。

しかしですね。羽村仁成君の経歴をみますと、ジャニーズ入所以前から数多くのドラマや声優として出演してきた折り紙つきの実力派子役さん。ジャニーズという名前だけで推された子役さんとは全く違うことが判りました。これで納得です。本作の凄みある演技は本当に素晴らしい。
(今回は映画ではなく、ジャニーズ俳優さんの話になってしまいました。)


優等生の朝陽だが、家には悪意に満ちた落書き。朝陽の父の再婚相手の仕業。
(朝陽にも闇があるのだが、本作だけではよく理解できない...)

朝陽は写真が趣味。3人で撮影した写真と動画の中に変なものが...
心霊写真はありませんよ。本当の殺人シーンが写っていたんです。

殺人犯人をゆすり始めた3人。果たしてうまく行くのか...
(ちなみに犯人役の岡田将生さんと、浩役の前出燿志さんは同じスターダスト所属)

朝陽はこの時点では、頭は切れるが普通の中学生。
(もう少し心の中の闇の部分を演じて欲しかった)

夏月は朝陽に惹かれていく。しかしこれが朝陽の命取りになるとは。
(浩は蚊帳の外。J事務所以外の少年俳優に大きな仕事はさせない。女子の夏月は別。)

犯人、浩、夏月は死んだ。生き残った朝陽は刑事(演:江口洋介さん)に事情を説明する。
自分は巻き込まれただけ。この時点では誰も疑いは抱かなかった。


※後記
朝陽役の羽村仁成君はよく演じました。しかし本作だけみると平気で殺人できる生まれつきのサイコパスのように思えます。ドラマ版で朝陽を演じたロン・ズーシャン君のように内面の葛藤をしっかり演じてくれれば良かったのですけど。ただこれは羽村君のせいではありません。
前出燿志君が演じた浩にいたっては、ただのチンピラでしかありません。中国版では厳良(演:シー・ポンユェン)という役で、主役に負けないほど印象に残る役でファンも多かった役です。上映時間の制約で仕方ありませんけれど。皆様も機会があれば(毛嫌いせずに)中国版をご覧になって下さい。





▼イーストエンド劇場へ戻る   ▼第3部トップへ戻る