くまをまつ (2024年)

お薦めポイント 夏休み。無言で歩いて行く幼い少年の姿が印象に残る
少年の出番 主役の一人。出番は多く、アップで映ることも多い。
映画情報など 2023年公開。ディスク等の販売は未定。
写真は渋谷いる太君。


今年(2025年)は北海道でヒグマによる被害が話題になりました。それなのに「熊を待つ」とは何か皮肉にも思えて。それは置いといて、本作品はDVDやBlu-rayにはならないし、ネット配信も無いかもしれないと思って、京都のミニシアターで鑑賞。静かな映画でした。

夏休み。人里離れた実家に預けられたタカシ。タカシは一人で歩きまわる。

脚本家のヤヤコ(平野鈴)は、石川県にある実家で脚本の執筆。祖父が亡くなり実家には誰もいない。そこへ8歳の甥タカシ(渋谷いる太)を夏休みの間、預かる事になった。ヤヤコとタカシは距離をとりながら過ごす。ヤヤコは亡き祖父の日記を脚本に使おうとするが、不思議な記憶が蘇る。

一方のタカシも家の中で見知らぬ青年の姿をみたり、不思議な体験が続く。それはヤヤコや亡き祖父の記憶につながっている。そんな時、ヤヤコの恋人だった女性がやってきた。二人は女性の同性愛者。しかしヤヤコが原因で別れたのだが。やがて夏休みが終りタカシは帰っていく。


本作は二つのストーリーが交錯しています。@少年タカシの目に入るもの。A叔母ヤヤコと元恋人との話。Aは女性同性愛の話で元恋人の恋人(やはり女性)まで登場する三角関係。これはパスさせて頂きます。

タカシが預けられた実家は人里離れた山の中。殆ど人がいませんが、同年代の女の子が一人。彼女の方が活発でタカシは振り回され役。仏映画『フランスの思い出』に出てくるぶっ飛び少女を思い出して。しかし大半はタカシは一人で村の中を歩きます。大きな石切場の跡は巨大なトンネル。

誰もいないはずの家の2階で狂ったように槌を打つ音。タカシが2階へ上がっていく(怖くないのかな)と、半裸の若い男が鋭い視線を投げかけてきます。この男とは山の中で、トンネルの中で、タカシと何回も出会います。亡くなったヤヤコの祖父(タカシにとっては曽祖父)の若い頃の幻影でしょうか。祖父はふざけて友人を殺めてしまったの?

次第に若い男はタカシとコミュニケーションを取り始めます。最後は熊の鈴?をくれました。しかしせっかく貰った鈴。なにかの役に立つのか、その後のストーリーでは全く放置。

タカシの幻想はヤヤコの脚本にそのまま使われています。いや、ヤヤコの筋書き通りにタカシが幻想をみたのかもしれません。脚本のネタに困ったヤヤコは、他人の体験や言動を何でもかんでも脚本に使ってしまうところがあり、どうやらこれが恋人と別れた原因だったようです。とにかくこの辺はよく理解できませんでした。


映画の冒頭はタカシの顔をひたすらアップ。
母が運転する車の中。これから行く実家に不安も。
夕日の中を駆けるタカシ。
何かに追いかけれられるのか、追いかけるのか。


タカシはヤヤコを「ややこ」と呼ぶ。「叔母さん」と呼ばれよるよりはいいのかもしれない。


元は石切場だったトンネルの入り口。ここで不思議な幻想をみた。しかしもうお別れだ。



※後記
ヤヤコが脚本をチェックする時、自分で読むのではなく、役者さんにセリフとして読んで貰っています。この役者さんが元恋人。一般に脚本家というのは、こうして自分の書いた脚本を、プロに方に読んで貰ってチェックしているのでしょうか。

主人公の平野鈴さん。ヤヤコという名前と違って、登場してきて声を出したとたんにLGBTの人だなとピンと来ました。もちろん演技なのでしょうけれど。ヘアスタイルは横浜流星さんのようなメンズカット。低い声。この低い声がやや不自然で聞き取りにくいのが難点でした。





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