港のひかり (2025年)

お薦めポイント 前半の1時間。盲目の少年と元ヤクザのおじさん。まるでチャップリンの「街の灯」
少年の出番 少年時代は1時間もあります。尾上眞秀君が好演。
映画情報など 2025年公開。ディスク等の販売は未定。
写真は尾上眞秀君。


舘ひろしさんと少年歌舞伎役者の尾上眞秀君が共演との事で期待して鑑賞しました。とはいえ、あくまで少年時代パートだけの出演ですので10分くらいあれば上出来かなと思っていたら、前半まるまる1時間の出演。これは嬉しい誤算でした。

後半は打って変わって東映任侠シリーズに。かなり激しい暴力シーンも満載。それでも最後は感動しました。皆様も是非ご覧になって下さい。

盲目の少年と元ヤクザのおじさんの交流が始まった。

(まだ公開中ですのでストーリーは「公式サイト」より引用。かなり長めです)
日本海を臨む小さな漁村に暮らす三浦(舘ひろし)は、漁師で日銭を稼ぎながら細々と生活していた。
ある日、三浦は通学路で白い杖をついて歩く少年の幸太(尾上眞秀)を見かける。弱視を患う幸太を、同級生の子どもたちは、わざと転ばせて笑い者にしていた。幸太は両親をヤクザ絡みの交通事故で亡くし、彼を引き取った叔母はろくに育児もせず、その交際相手からも暴力を振るわれていた。事情を知った三浦は、孤独な幸太にどこか自身の姿を重ね、自分の船に乗ってみるかと誘う。
自分のことを“おじさん”と慕い、一人の人間として接してくれた幸太に救われた三浦は、かつて敵対していたヤクザの取引を襲い、お金を盗み、幸太の目を治療することに。そして、三浦は幸太に一通の手紙を残して刑務所へ。遠くへ行ってしまった“おじさん”を見ることなく幸太は孤児院へ入所する。

―12年後―
出所した三浦は、静かに暮らすことを望み、地方の運転代行業者として働いていた。幸太とは手紙のやり取りは続いており、“おじさん”に会いたいと思いながら、幸太は三浦に憧れて刑事になっていた。そんな中、警察の資料から“おじさん”の正体を知って葛藤する幸太。それでも会いたいと願った幸太は居場所を突き止め、三浦と再会する。しかし、彼らの出会いはかつての因縁を呼び起こしてしまうことに。ヤクザに狙われる三浦と幸太。一人ヤクザに立ち向かう三浦。そして、幸太も”おじさん”のためにヤクザの元へ向かっていたー。


ネタバレ防止と思って公式サイトのストーリーをそのまま引用しましたが、これ殆ど全てです。ここまで書いてしまっていいのかと思いましたが、映画を観られる方はあまり事前にストーリーを気にせず観られた方がいいと思います。

盲目の少年は虐待を受けて学校にも通わず、近所のクソガキには虐められる毎日。普通なら精神が歪んでしまっても不思議ではないのに、まるで天使のような純真さを保っています。元ヤクザのおじさんはそんな少年を放っておけなくなる。誰かのために生きる。これが本作のテーマ。

チャップリンの名画『街の灯』は盲目の花売り娘と浮浪者。本作は盲目の少年と元ヤクザ。共に弱い存在である相手を救うために奮闘してお金を作り、その見返りは逮捕されて刑務所。チャップリンの場合は色恋。でも本作は無償の愛。相手が少年ですから愛とか恋はないのでしょう。あってもいいのに...

本作のタイトルは「港」の「ひかり」。なんとなく「街」の「灯」を意識されているんだと思います。ただ映画後半はまるで高倉健さんの東映任侠シリーズのようなテイスト。盲目の少年は成長して刑事になりました。演じたのは眞栄田郷敦さん。顔立ちは違うのですが、目の輝きと優しさがそっくり。全く違和感はありませんでした。

盲目の少年を演じた尾上眞秀君。さすがは歌舞伎役者。堂々としていて安定感抜群。目を閉じていたり、サングラスをかけたりせず、真っ直ぐ目を開いたままで盲目の演技をしているのですが、これが本当にリアルでした。消え入るようなか細い声のセリフも印象に残りました。

全体を通してストーリーには、おかしいなと思う箇所も多々あるのですが、重箱の隅をほじくっても仕方がありません。皆様も是非ご覧になってみて下さい。


港のクソガキたちは盲目の少年を虐めて遊ぶ。
(弱い人間を虐めて楽しいのか。)

元ヤクザは今は漁師。盲目の少年を放っておけなかった。
(最初はあまり関係を持たないようにしていたが)

少年も元ヤクザのおじさんの側にいたかった。
(少年には元ヤクザである事を隠していた)

少年はおじさんに朝市に連れて行って貰った。
鈴の付いた魚のキーホルダーを買った。同じもの2つ。
少年は1つをおじさんにあげた。友情の印?
おじさんは喜んだ。何とかして目を直してあげたい。


手術すれば目は見えるようになる。おじさんはそう言った。
そんなお金ないよ。おじさんが何とかする。これが二人のお別れに。



※後記
本作の出演者の中で地味ながら一番印象に残ったのは笹野高史さん。いい役でした。最後は元ヤクザと一緒に抹殺されてしまうのではとヒヤヒヤしていましたが、ご無事で何よりでした。





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