作品総合評価 |
5点 |
少年の出番 |
25%(主人公の息子役) |
寸評 |
ダメ親父の一念発起物語 【少年映画でない理由】出番が少ない |
映画情報など |
2000年公開/ビデオ発売終了 |
■TBSの同名番組の映画版
TBS系列のTV番組「しあわせ家族計画」は毎回ひとつの家族が登場し、困難な課題を与えられ、家族が力を合わせて取り組み、本番で課題に挑戦するというものらしいです。(残念ながら番組をみたことがありません)
■ストーリー
映画の主人公は、ある日突然リストラを通告されたサラリーマン川尻富士夫(三浦友和さん)。一家揃って社宅を追い出され、妻の実家へ転がり込む。これは男にとっては最大の屈辱。しかし妻の実家も、経営する和菓子屋がうまくいかなくなり、お弁当屋に鞍替えするが、やはり経営は厳しい。
そこへ、富士夫の元同僚が現れて「新会社を作り、ぜひ君を重役にしたいので出資して欲しい」とか何とか言われ、躍り上がって喜ぶ富士夫パパ。苦労してお金を工面して出資するが、それが詐欺だったと判り、どん底に。
そんな時に、息子の由太郎(佐々木和徳君)が勝手に「しあわせ家族計画」に応募していたのが当選してしまう。一家に与えられた課題は、全く音痴の富士夫パパが、ピアノで「埴生の宿」を完璧に演奏するというもの。これが出来れば賞金300まんえん!
父親の面目躍如とばかりに挑むが、所詮は片手でさえも弾けないピアノ、すぐ壁にぶつかり、以前にも増して落ち込む。しかし妻、息子、娘がいろいろと策を講じて父を励まし、何だかんだの末に、とうとう見事に演奏できてしまう。
■佐々木和徳君
ストーリーは初めから読めてしまう他愛もないワンパターンものですが、それなりにドキドキさせられ、最後は「お涙」まで出てしまいました。主人公の息子役の少年。出番はやや少ないものの、落ち込むお父さんとキャッチボールをしたり、励ましたり、と好演しています。
ただ、運動神経がやや不足だけども、何とかして野球チームに入りたいという願望を持つ息子役でしたが、最終的にその願望が叶えられたかどうか、映画では尻切れトンボになっていたのが少し残念でした。
佐々木君は、この映画では、まだ可愛い子役という感じでしたが、この後は少し成長して「ひまわり」「NAGISA」などに出演し、やはり出番は少ないものの、少し暗い影を持つ少年役として印象に残る存在感がありました。
今も若手役者として活躍されているようです。何本かの映画で、脇役かもしれませんが、キャストに名前をみたことがあります。何とか一本でも主役を勝ち取って欲しいものです。
■三浦友和さん
三浦友和さんという俳優ですが、これまでは伝説の歌姫「山口百恵さん」の夫という以外の印象は全くなく、注目したこともなかったのですが、振り返ってみると色々な映画に出演されている事に気づきました。
彼の存在は「ご飯」か「食パン」みたいなもの。本人には殆ど「味」は無いけれど、どの料理にでも染まるというか、必要なものかなと思います。
どんな役をやらせても嫌味がなく、そこにある空気のように馴染むので、監督さんからみれば使いやすい俳優さんなのでしょう。変に「自分色」を出してしまうと、お呼びがかからなくなるかもしれません。俳優としてこれは、嬉しいのか悲しいのか。
ただ関西人からみれば、彼は育ちが良すぎて(そのように見えるだけかもしれませんが)、本作のようなダメ親父役は少し非現実的でした。もっともっと泥にまみれる最下層の人間を演じれる役者であれば、映画のインパクトが強かったと思います。
■お蔵入り寸前
ネットで色々と調べると、この映画は1998年には完成していたようですが、松竹系列の都合でお蔵入りになりましたが、2000年には復活して全国公開に漕ぎ着けたようです。このような復活ケースは珍しいそうです。今でも商業映画として製作されながら、公開もされず、DVDにもならないものが年間100本もあるとの噂を聞きました。
文科省(文化庁)は、映画製作には文化振興として費用を援助したりしますが、映画の公開には何の支援もしないようです。作るだけ作って公開できないのならば、映画の価値は無いのと同じです。
公開しない映画に、もし税金を使っているならば、これは勿体ないことです。シネコンなど映画館は営業第一ですので資本主義原理からは仕方がないと思いますが、国内には市民会館、何とかホールなど、素晴らしい箱モノが沢山ありますが、スケジュールが詰まっていますか?
公立の建物には、営利を目的とした興行を認めないところが多いため、自主上映もできないのが実態です。せめて文化庁が支援した映画くらいは、そんな所で公開できるような施策を打って貰いたいものです。