隣人13号 (2004年)

作品総合評価 4点
少年の出番 10%(主人公の少年時代)
寸評 不満の残る復讐バイオレンス
【少年映画でない理由】少年による暴力表現
映画情報など 2004年制作/DVD発売済


■理不尽?フラストレーションの残る復讐バイオレンス

井上三太氏の漫画を実写映画化した作品(漫画は未見です)。もともとバイオレンス系の映画は苦手なので、普通は敬遠するのですが、あるWebサイトで印象的な子役さんが出ているとのレビューを読み、気になってレンタルでみました。

<ストーリー>

村崎十三は小学生時代(小笠原隼君)に同級生の赤井から、顔に硫酸をかけられるなど悲惨なイジメに合う。そのトラウマを背負ったまま成人した十三(小栗旬さん)には、二重人格の凶暴な13号(中村獅童さん)が出現する。

十三は復讐のため、赤井の勤める工務店に入り、赤井とその家族が住むアパートの階下に引越した。しかし次第に凶暴な13号に支配されていき、次々と殺人を重ねていく。遂には赤井の幼い一人息子(仲條友彪君)まで手にかけ、バラバラにしてカバンに詰め込んでしまう。

そしてとうとう赤井本人を追い詰め、積年の恨みを果たす瞬間がやってきた。しかしここから物語は、あっけにとられる結末へ

■子供への暴力は目を覆う

少年時代を演じた小笠原隼君、苛められ方は本当に酷いものです。演技とはいえ辛い。ただ、最後のシーン!(ネタバレになってしまいますが)渾身の反撃に出ます。そして泣きながら廊下を歩くシーンがアップで続きます。この時の小笠原君の表情が素晴らしい。暗い陰鬱なストーリーを打破して、希望へ向かって歩く姿でしょうか。

一方、13号の復讐の餌食にされる幼い仲條友彪君、彼の泣き顔は演技とは思えません。これは本当の児童虐待では、と思ってしまう程で、思わず画面から目を背けました。R-15指定とはいえ、少年映画ファンの皆様にも見て欲しくないシーンです。

■ちょっとお薦めできません

精神的な世界を具象化した作品に映画「アンテナ」がありましたが、こちらは自虐、自傷的ものに対し、本作品は理不尽な暴力が目立ちます。

直接復讐と関係のない隣人の中年男、建設現場の気弱な同僚、幼い子供をあんな風に殺す一方、復讐すべき張本人に対しては非常に甘い結末(あっと、またネタバレ)。ちょっとフラストレーションが溜まってしまいました。小笠原隼君の最後のシーンが救いで、これは一見の価値を認めますが、全体として、う〜ん、お薦めできません。






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