2006年のある日、サラリーマンの鈴谷比呂志(伊藤英明さん)は、故郷の北九州へ出張した。航空機を下りて何気なく、かつて住んでいた旅館の前にやってきた。すると、少年(富岡涼君)が飛び出してきた。ええっ 子供の頃の俺じゃないか!
そんなバカな。喫茶店で読んだ新聞の日付は1986年。そこへ同じ航空機に乗っていたヤクザが。どうやら20年前にトリップしたようだ。携帯電話も紙幣も使えない。比呂志は実家の旅館へころがり込み、働くことにした。なんとヒロシ(20年前の自分)と相部屋。ヒロシは何かと突っ張ってばかり。自分のことながら、可愛げのないガキだ。
近所の和美(ミムラさん)は、初恋の女性だった。東京の芸大でバイオリンを専攻し、国際的な奏者を約束されながら、病気で挫折して故郷へ帰ってきたのだ。そしてこの後、死ぬ運命だった。和美が生きている。比呂志には堪らない状況だ。和美は手術すれば生存確率が1割ある事を知る。但し音楽家としては絶望。和美は生きる希望を失っていた。比呂志は決心した。運命を変えよう。手術を受けさせよう。
そんな時、また同じ航空機に乗っていた数学者の臼井(宮藤官九郎さん)と会った。そして意外な事実を知る。やはり同じ航空機に乗っていた老婦人の話だ。どうしても会いたかった盲導犬(既に死んでいる)と会って、思いを遂げた瞬間、彼女は消えてしまったのだ。
さらにヤクザから決定的な事実を聞いた。俺達は既に死んでいるんだ。どうやら航空機が堕ちたらしい。この世に残した思いを遂げるため、それぞれ一番大切な時代に戻してくれたのか。比呂志とヒロシは協力して、和美に生きる希望を与えるため、ある事を仕組んだ。そしてそれは成功した。和美は手術を受け、2006年の現在、生きている。しかし比呂志は、ヒロシは。