那須少年記 (2008年)
作品総合評価 |
6点 |
少年の出番 |
100%(堂々の主役ですが) |
寸評 |
教育とは、教師とはなんだ? 【少年映画でない理由】年齢オーバー |
映画情報など |
2008年公開/DVD発売済 |
本サイトの掲示板に、太賀さん(スターダスト所属の俳優さん)のファンと思われる方の投稿があり、批評を求められました。残念ながら作品を見た事がなかったので、早速、太賀さんが主演しているという本作品のDVDをレンタルして鑑賞しました。
私はあくまで映画のファンであり、少年俳優個人には入れ込まないことをポリシーとしています。勿論、お気に入りの少年俳優は多々います。特に大きな役を貰えないまま、あるいは主役作品があるものの、世間から評価もされないまま、卒業(成長)してしまった少年俳優ほど気になったりします。
ここで書くレビューは映画「那須少年記」のオサムを演じた少年俳優の感想であり、太賀さん個人の事ではないことをご了承下さい。
■ストーリー>
戦後9年が過ぎ、ようやく成長に向かいはじめた日本。中学2年生の少年オサム(太賀さん)は母と二人で、美しい那須の山荘へ引っ越してきた。オサムの母は離婚し、山荘の一室を借りて温熱療法?の治療所を開業したのだ。
地元の中学に転校したオサムは、美人の担任教師である大月先生(平山あやさん)に一目ぼれ。気のいい同級生の英雄(岡本拓朗さん)ともすぐに仲良くなり、順調な中学生活を送れるかに見えた。
しかし、クラスには学年トップの秀才ながら冷たい目をしたアキラ(塚田健太さん)がいた。オサムはアキラが気になったが、アキラは他人を全く受け入れない。嫌な教師を糾弾したり、成績表を破るなどの問題行動を起す。やがて他クラスの不良連中とヤクザの抗争まがいの乱闘事件まで。
一連の騒動には距離を置いていたオサムであるが、担任の大月先生が責任を取らされるに至って、アキラに立ち向かう。しかしアキラには家庭の事情があった。それを理解して初めて二人に友情が生まれた。しかし大月先生は去り、オサムも去ることになった。
■典型的な「少年時代」ものがたり
(左)太賀さん、(右)塚田健太さん
森詠氏の小説が原作との事ですが、東京の少年が田舎へ転校して、淡い初恋、喧嘩、友情、そして別れと、ほぼお決まりのパターンとなります。お決まりが悪いなんて全く言うつもりはありません。人生なんてマクロ的にみればどれも同じようなもの。
ただ、お決まりのパターンであっても、見た人に何を印象づけられるかが問題です。本作品をあえて言うならば女性教師と中学生の絆と別れがメインになっていると思います。少年同士の友情物語や初恋的なものも少し織り交ぜながら。
私としては、オサムとアキラの友情にもっとスポットを絞って欲しかった。そうすれば少年映画になっていたのに、と少し不満が残ります。
■二人の若い俳優(太賀さん、塚田健太さん)
主演の太賀さんですが、ニッポンの正しい少年を絵に描いたような爽やかな印象です。最近は二十歳を過ぎても子供のような青年が増えています。私は少年俳優は好きですが、やはりどこかで大人に脱皮して貰わないと。いつもまで子供のような童顔を売りにした俳優は困りもの。
ちょっと脱線。成人してもナヨっとした男性(いわゆるオ○マ)は問題ありません。性同一性障害であってもそれは大人としての個性ですから。でも成人なのに子供みたいなのは、甘えがあるようでいただけません。その点、太賀さんは全く問題がありません。シャキッとした、いい青年俳優になって欲しい。
一方、アキラを演じた塚田健太さんが印象に残りました。これはアキラという役柄のせいでしょう。いつも受身的な姿勢のオサムよりも、行動を起すアキラの方がずっと男らしい。そのため正直に言えば、本作品では塚田健太さんの方が光っていたかもしれません。
■最後に(本作を少年映画にカテゴライズしなかった理由など)
少年記というタイトルで、主人公も少年俳優なのですが、私の基準としては参考映画とさせて頂きました。役者さんが、どうしても中学2年生には見えなかったのが最大の理由です。戦後とはいえ昭和20年代。まだ発育はよくなく、文科省の保健統計によれば14歳男子の平均身長は約148cm(現在は約165cm)。
半数くらいは声変りもしていなかったのではと思われます。この映画の出演生徒、特に男子は肉付きが良すぎて、高校生にしか見えません。あと、ヤクザの抗争まがいの乱闘シーンも。エロス、バイオレンスが無いと映画ではない、というようなお決まり事が映画業界にはあるのもしれません。本作品に限らず(特に子供に関係する)暴力シーンは苦手です。