みんな、はじめはコドモだった (2009年)

作品総合評価 平均5点
少年の出番 1話、3話は主役
寸評 やや消化不良なオムニバス
【少年映画でない理由】主題や視点が少年でない
映画情報など 2009年公開/DVD発売済


2009年1月10日、梅田ガーデンシネマ(大阪)にて鑑賞。

もともとは大阪の朝日放送の新社屋完成記念事業として製作され、無料上映された作品だったそうですが、今回有料で一般公開されました。無料の時は観れませんでしたので、今回は楽しみにしていた訳です。上映2時間前に受付。整理番号は9番でしたので、余裕で最前列の真ん中の席に座れました(この映画館は最前列が特等席です)

さて映画の本当の題名は「Theショートフィルムズ みんな、はじめはコドモだった」というように5本の短編映画で構成。邦画を代表する大物監督5人が、それなりに有名俳優を使ってゼイタクに作っています。

■1本目:「展望台」(阪本順治監督)

1番期待していた作品でしたが、今一つでした。大阪通天閣で、自殺志願の中年男(佐藤浩市)と親に捨てられた少年が1晩を過ごし、絶望から希望が少し見えるような終り方でしたが、どこか爽やかさがありません。佐藤浩市さんの大阪弁は問題なく好演でしたが、少年が下品でいけません。阪本監督が描くと、どうしてもこんなテイストになってしまうんですね。

■2本目:「TO THE FUTURE」(井筒和幸監督)

小学校のナンセンス暴力教師に戸惑う子供達を描いていますが、これも今一つ、空回りの感がします。決定的にダメだったのは、最後に子供達がネズミにライター油をかけて火をつけるシーンです。井筒監督の作品には必ず「暴力シーン」がありますが、どうしても苦手です。

■3本目:「イエスタデイ ワンスモア」(大森一樹監督)

浦島太郎をモチーフにした寓話風の時代劇。不思議な老人に大人にされてしまった少年(佐藤隆太)が母親(高岡早紀)を助けるうちに微妙な関係になり、苦悩する様子が爽やか。この作品が平凡ですがベスト。佐藤隆太さんの熱演に最後はホロリ。

■4本目:「タガタメ」(李相日監督)

知的障害を持つ息子をかかえながら、病気で余命わずかになってしまった老人(藤竜也)の絶望を描く。ちょっと変わった死神(宮藤官九郎)との絡みが新鮮。この作品が2番目によかったかな。

■5本目:「ダイコン」(崔洋一監督)

ダイコンとは「ダイニングテーブルのコンテンポラリー」の略だそうで、台所を舞台に老夫婦と娘の微妙なやり取り。樹木希林さん、小泉今日子さんという 2008年映画賞を総ナメにしそうな豪華女優コンビ。「歩いても歩いても」と「トウキョウソナタ」の雰囲気があるんですが、どこか中途半端な気がしました。

結論。今回の5本について私なりに順位をつけると、
1位:大森監督、2位:李監督、3位:崔監督、4位:阪本監督、5位:井筒監督
もちろん、そんなに差はありません。少年俳優が出ている作品が今一つだったのが残念です。でも1本で5度美味しいので、観て損はしないと思いますよ。






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