MW-ムウ- (2009年)

作品総合評価 4点
少年の出番 5%(冒頭シーンのみ)
寸評 手塚作品の薫りが感じられない
【少年映画でない理由】少年の出番が殆どない
映画情報など 2009年公開/DVD発売済


2009年7月11日、ワーナーマイカルシネマズ大日(大阪)にて鑑賞。

巨匠、手塚治虫先生の作品ですが、原作は読んでいませんし、色々な映画レビューサイトでも酷評が多かったので観ないつもりでした。でも金券ショップで前売券が1200円と少しだけ安かったので衝動買い。そんな訳でこの土曜日の朝1番、近所のシネコンで観てきました。公開一週間ですが、既にガラガラで快適。

■ストーリー

ある島で島民ほぼ全員が死亡する事件が起こった。2名の少年だけが脱出。16年後、脱出した結城(玉木宏さん)は二重人格の銀行マン、賀来(山田孝之さん)は神父となっていた。島民全滅を起こしたのはMWとよばれる毒ガス。その秘密を知った結城は、MWを使って大量虐殺を計画する。それを阻止しようとする賀来。さあどうなるのでしょうか。

■手塚作品とは思えぬ2流アクション映画

結論からいえば、まあ、アクション映画と考えれば、それなりに楽しめました。冒頭、タイを舞台にした追いつ追われつのカーチェイスやアクションが長々とあります。それなりに緊迫していて、映画の「つかみ」としては十分なんですが、このシーンで全部使い果たしてしまった感があります。(ずっと昔のギャング映画「フレンチコネクション」の二番煎じみたいな印象も拭えませんし)

物語は主人公の結城(玉木宏さん)の壮大な復讐劇な訳ですけれど、どうしてそんなに復讐しなければならないのか、その動機が伝わってきません。なので、主人公にも、その他の出演者にも感情移入が出来ず、結果として「後に何も残らない」映画になってしまいました。

やっぱり時代劇の「必殺シリーズ」のように、前半これでもか、これでもか、と悪人に痛めつけられて、正義のパワーを貯め、最後に堪忍袋の緒が切れて爆発するように復讐する。こうでないと、この手の話はのれません。もちろんそんな単純な勧善懲悪ストーリーを望んでいる訳ではないのですけど。

ある島の住民が虐殺されて2人の少年だけが生き残る(このシテュエーションにはゾクゾクする程期待したんですけど)。やはりこの状況をもっともっと描くきだったと思います。しかも少年を演じるのは桑代貴明君。彼の演技にせめて20分でも費やしてくれれば、もっと締まった脚本になった思います。ほんの数カットの出演とは、本当に残念でした。

何度も書きますが、原作を読んでいませんので、こう決め付けるのは不本意かもしれませんが「手塚ワールド」とはかけ離れた作品ではないでしょうか。まあそんな固い事を言わず、日本映画でも「フレンチコネクション」的なアクション娯楽作品が作れるようになった、と楽しむべきかもしれません。決して退屈はしませんので。(これおかしいだろう?という突っ込み所は多々ありますが)






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