GOEMON (2009年)

作品総合評価 6点
少年の出番 20%(深澤嵐君が活躍)
寸評 スケールは壮大。まるでゲームの世界
【少年映画でない理由】出番が少ない事
映画情報など 2009年公開。DVD発売中。
(写真は五右衛門の少年時代を演じた広田亮平君)


2009年の映画公開時には見ませんでした。特に少年俳優が活躍する作品でないと思いましたので。しかし少年俳優として、広田亮平君の経歴を整理している時、ネットで予告編を見ると、広田君がカッコいいじゃないですか。おまけに深澤嵐君、林凌雅君まで出演とあっては、見ないわけにはいきません。DVDでの鑑賞です。

■ストーリー

戦国時代、ある地方の小さな領主が切腹を命じられる。その息子(広田亮平君)は乳母に連れられて命からがら脱出。しかし途中で山賊に襲われて乳母は殺害され、少年もピンチ。それを救ったのは、通りがかった織田信長だった。少年は五右衛門と名付けられ、大忍者の服部半蔵(寺島進さん)の下で厳しい訓練を受けることになる。

同じ弟子に少年、霧隠才蔵(林凌雅君)がいた。2人はライバルとして切磋琢磨し、素晴らしい技術を持つ忍者に育っていった。友情で結ばれた2人であるが、全く別の道を歩む。霧隠才蔵は豊臣秀吉側に仕える忍者となる。一方、戦国の世に嫌気がさした五右衛門は、自由人として生きる。金持ちの財宝を奪って貧乏人に分け与える大泥棒となった。(映画本編はここからスタート)

恩人である織田信長が殺害され、秀吉の天下になったが、そこにある陰謀を知った五右衛門。母親を殺された少年スリの小平太(深澤嵐君)を引き取りながら、秀吉の陰謀に巻き込まれていく。それは友人だった霧隠才蔵との対決も避けられない。さあどうなるのか。


切磋琢磨する五右衛門(広田亮平君)と霧隠才蔵(林凌雅君)
■壮大なスケールのCGですが

時は戦国、波乱の時代。でっかい心で生きようぜ!(このフレーズ判りますか?判る人はもう、じいちゃんですなあ)従来の戦国の忍者ものとは、大きく一線を越えた作品でした。日本ではなく、中国の三国志か、ローマ時代か、はたまた十字軍か、それらを全部ゴチャマゼにしたような世界です。

強いて例えるなら、昔の特撮テレビの「仮面の忍者赤影」の後半の卍党編をもっと極端にしたようなものでした。合戦や戦闘シーンなどのアクションはCGとはいえ素晴らしく、最初はびっくりして画面に引き込まれました。でもだんだんと目が慣れてくると飽きてきます。

これはプレイステーションのゲームと同じではないか。そう思うとやや薄っぺらく見えてくるのです。これを作品として崩壊することなく、引っ張ってくれたのは五右衛門を演じた江口洋介さんの熱演。そこへピリっと味付けをしたのが小平太を演じた深澤嵐君。この2人が良かった。

■大阪の人間としては、複雑な脚本

大阪では豊臣秀吉を太閤さんといって、大変誇りに思っている人が多いのです。秀吉の生誕地である名古屋でも太閤さんは人気者だと思います。それをですね。この映画では徹底的な悪人にしているのです。しかも最後はスカみたいにあっさりと殺されるのです。

これは関東人、東京人には判らない感覚なのでしょうか。いや判っていて、わざと秀吉を貶めて、大阪人を痛めつけようとしているのでしょうか。関が原の戦い以降、西軍は東軍に負けてばかり。明治維新では薩長という西軍が徳川幕府を叩きのめしてくれましたが、関西勢は関係なし。(そういう意味では、普段好きではない橋下さんですが、大阪パワーで日本を改革してくれるのもいいかもしれません)

■少年俳優の活躍ぶりは

秀吉の話はそれくらいにしておいて。少年俳優の話です。広田亮平君。主人公五右衛門の少年時代役なので、もう少し出番があるかと思っていたのですが、残念ながら僅かでした。でも凛々しくて男前な表情を見せてくれました。この映画ではイケメンでした。

一方、林凌雅君は顔を確認するのも困難なほど少しだけ。2人が切磋琢磨して修行するのですが、一つくらい何かエピソードを入れてくれても良かったのに。(まあ、子役に時間を取るなんてのは無理なのでしょうね。Always三丁目の夕日の監督さんなら期待できたかも。)

この五右衛門と霧隠才蔵ですが、ネタバレになりますが、この映画では大胆な仮説(珍説)を描いています。有名な「釜茹の刑」になったのは五右衛門ではなく才蔵が身代りだったと。

■五右衛門は冷たいヤツでは。

才蔵の処刑の場面もおかしいのです。五右衛門が助けに行くのですが、それまで超人的な飛躍力で一跳び100mは飛んでいた五右衛門なのに、タラタラと群集の間を歩いているだけなのです。そうか。五右衛門は才蔵を助ける気などさらさら無かったのですね。

大して美人でもない茶々姫は命をかけて助けるのですが、少年時代から一緒に修行をした友人はどうでもいい。まあそんなものかもしれません。映画に突っ込みを入れても仕方ありません。「サスケ」とか「少年忍者風のフジ丸」などの本格少年忍者ものを実写映画化してくれる会社はないものでしょうか。勿論、本物の少年俳優を使って。見てみたいなあ。






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