ワカラナイ (2010年)

作品総合評価 7点
少年の出番 100%(主演。高齢少年ですけれど)
寸評 少年がもう2歳若ければ名作
【少年映画でない理由】年齢オーバー
映画情報など 2010年公開/DVD発売済(写真は小林優斗君)


2010年1月30日、第七藝術劇場(大阪)にて鑑賞。昨年11月に東京で公開スタート、その後、福岡や名古屋と続き、やっと大阪でも公開です。大阪、十三の第七藝術劇場は久し振り。(大阪がこんなに後回しにされるのも、関西地盤沈下の表れか。)

小林政広監督作品は、実はこれが初めてです。ただ、小林監督のブログはちょくちょく読んでいましたので、一種独特な映画作りの世界観などは、知っているつもりでした。ヨーロッパでは評価が高いものの、日本のメディアからは徹底的にバッシングされているのが残念です。

■ストーリー

16歳の亮(小林優斗君)は母と二人暮し。しかし母が入院してしまい、入院費用も生活費もない。コンビニでバイトしていたが、店の商品をくすねたのがバレてクビになった。食べるものさえ無くなった。仕方なく、亮は父に無心しようと家を訪ねることにする。長い間、会ったこともない父。16歳の少年が訪ねてきた時、どんな態度をとるだろうか。

■しみったれた映画ですが、これが素晴らしい

さて映画ですが、私にとっては久々のヒット作!でした。小林監督はきっと否定するでしょうけど、あの名作「誰も知らない」の続編とも言うべき、何とも言えない空気を体感することができました。

主役の少年(小林優斗君)が、もう2歳若ければ、これは少年映画として2009年最高作品に認定していたと思います。とはいえ、高校生の小林君が本当に素晴らしい。どこか柳楽君と共通するような乾いた眼差しが印象的でした。

悲惨な生活の中、若くして人生を放棄し、どこか虚無を見つめるような、そんな眼差しは、絶望を通り越して、どこか別の次元へ旅立ちを待っているのでしょうか。そんな気がして私には逆に「希望」が感じられてなりません。(ひんしゅくかもしれませんが、映画を見ながら、ワクワクしているんです。変ですね)

手持ち撮影が多く、画面が揺れるのですが、なぜかこの映画はそれが気になりませんでした。ただ映画の冒頭部分は気に入りません。真っ暗の画面の中で主題歌が続くのですが、それが数分も続くと少しイライラします。ひょっとして映写トラブル?とまで思いかけました。

また、主人公の少年は、高校生のくせに一人でメソメソと泣く回数が多いのも少し違和感。クライマックスでとうとう耐え切れず泣くのなら、感動もまた違ったものになったでしょう。

しかしながら私にとっては傑作の一つである事は間違いありません。一方、この映画は大衆受けすることはないでしょうねえ。実際、隣の席にいた中年男性は、半分以上寝ていましたし。できれば2009年のうちに鑑賞しておきたかった。でも映画館で見れて幸せでした。






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