白夜行 (2011年)

作品総合評価 6点
少年の出番 15%(序盤のみ)
寸評 後味は悪いが、物語の緊張感は凄い。
【少年映画でない理由】出番が少ない事
映画情報など 2011年公開。DVD発売中。(写真は今井悠貴君)


2011年1月30日、ワーナー・マイカル・シネマズ大日(大阪)にて鑑賞。

東野圭吾さんのベストセラー小説の映画化。2006年にはTBS系列でTVドラマとしても放映されたそうです。しかしながら、小説もテレビも見ておりませんでした。テレビ版は、映画「よるのくちぶえ」主演の泉澤祐希君が出演していたとの事。見とけばよかった。

そんな訳で、全く予備知識を持たないまま、大阪郊外のシネコンへ。公開2日目の日曜なのにガラガラでした。結果から言うと、う〜んと唸ってしまう映画でした。08年の映画「闇の子供たち」みたいな、ちょっと嫌なテーマが絡んでおり、今回のレビューはさらっと終りにしたい気持ちですけれど。

出番は少ないものの今井悠貴君、印象的でした。
■ストーリー

質屋の主人が殺害される事件が起きたが、犯人は逮捕されないまま、10数年が経過。犯行の有力容疑者の娘(北真希さん)は美しい女子大生に。一方、被害者の息子(高良健吾さん)は、地味な工員になるが、過去の事実を指摘され、自殺する。実は小学生(今井悠貴君)の頃、ある殺人事件を犯していたのだ。誰が事実を指摘したのか、真相はどうなのか。複雑な人間模様が描かれる。

■なかなか一筋縄ではいきません

あの映画「狼少女」の深川栄洋監督作品ということで、少年俳優をどのように使っているのか、楽しみにしていました。実力派子役の今井悠貴君。キリっと凛々しい顔は良かったのですが。序盤の少年時代は、ほんの数カット程度で高良さんへバトンタッチ。そもそも主役は堀北真希さん。いや、あるいは刑事役の船越英一郎さんかもしれません。

船越英一郎さん、昨年の「誘拐ラプソディ」でもそうですが、どうもシリアスな緊張感が薄れて、失礼ながら、コミカルな感じがしてしまいます。ただ、この映画では船越さんが画面に出ている時が、一番安心できました。素直に刑事ドラマにしてくれた方が、良かったかもしれません。

少し長い(149分)ながらもミステリードラマとしてはよく出来ていた、と自分を納得させようとしていたところ、終盤5分「狼少女」登場。いや狼少女が出たのではなく、主人公二人の謎解きシーンは、映画「狼少女」そのものの雰囲気でした。今井君が再登場。衝撃的なシーンを目撃、思わぬ犯行に。

「狼少女」では見世物小屋で働くクラスメートの少女をみてしまった鈴木達也君。本作ではガールフレンドを、とんでもない状況で見てしまった今井悠貴君。(すみません。これ以上はネタバレ自粛)

深川監督がこだわったのが服装。特に昭和末期の少年スタイル(半ズボンなど)を忠実に再現しています。私のレビューだけを読むと少年映画のようになってしまっていますが、実際は少女売春など、本当にシビアな映画です。最後の方で船越さん演じる刑事が漏らした言葉もひっかかっています。

衝撃的シーンを目撃し、思わず罪を犯した幼い少年。狭くて真っ暗な空調ダクトの中を逃げる。どんな気持ちで逃げるんだろう。そして青年になった今も暗いダクトの中から抜け出せないでいる。これって、ホラー映画「呪怨」の白い顔をした俊雄少年そのものですね。

深川監督、本当にメジャーになりました。「狼少女」公開の頃、監督さんのブログに何度か書込みをした事があります。毎回丁寧にお返事下さいました(書込みされた方全員に)。もう一度、原点に戻って狼少女のようなジュブナイル作品を撮って欲しいものです。






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