青天の霹靂 (2014年)

作品総合評価 5点
少年の出番 10%(何の説明もないが印象に残る)
寸評 両親の秘密と愛情を知った中年男。少しご都合主義
【少年映画でない理由】出番が少ない事
映画情報など 2014年公開。BD/DVD発売中。
(写真は、信吉少年役の須田琉雅君)


劇団ひとり(芸名)が自身の小説を映画化。監督だけでなく自身も出演。本作品も公開時は全く関心がありませんでしたが、例によってノースエンド先生の部屋の番外編で取り上げられ、少し興味を覚えて、レンタルで鑑賞しました。

ネットでは、本作品を評価するレビューが非常に多く、少年映画としてではなく作品としても期待したのですが、私の性格がアマノジャクなのでしょう。ちょっとあざとい部分が多く、大泉洋さんの熱演は確かに素晴らしいと思いましたが、全体的にはご都合主義の脚本が目について・・

39年前にタイムスリップした中年男。手品の好きな少年が寄ってきた
■ストーリー

浅草のマジックバーで働く売れないマジシャンの轟晴夫(大泉洋)は、警察から父の死の知らせを受ける。長い間音信不通だった父はホームレスとなって橋の下で病死。何とも哀れな最後だ。母は晴夫が生まれてすぐに男と逃げたと言われ、顔すら知らない。そんな両親を恨みながら育った晴夫の人生も投げやりなものだった。

そんな時、いきなり青天から雷が落ち、晴夫は意識を失った。気づいたら39年前の1974年にタイムスリップ。晴夫が生まれる半年前だ。家も金もない晴夫は浅草の雷門ホールに飛び込み、マジック芸人として働く事になった。そしてそこで晴夫の両親(父:劇団ひとり、母:柴咲コウ)と出会う。

なんと両親とコンビを組んでマジック芸人として売れ出すが、そんな時、妊娠中の母に病気が。お腹の子を取るか、母の命を取るかの重大な決断を迫られることになった。その決断とは、晴夫が父から聞いていた事と違うのだ。

一応は昭和少年の服装
■少年俳優はどこに・・

タイムスリップした浅草ホールの楽屋や舞台裏に入り浸っている10歳くらいの信吉(須田琉雅君)は、手品が大好きで主人公の晴夫にまとわりつきます。一体どこの子なのか、なぜ楽屋に勝手に入るのか説明はありませんが、風間杜夫さん演じる支配人関係の子供ではと思います。

上記ストーリーで言及していないように、本作のストーリーには全く絡んできません。いてもいなくても何の影響もない役なのですが、出番は結構あります。彼がいることで、画面に柔らかみや暖かみが出てきて、また昭和らしさもあり、そういう意味で印象的でした。

ネタバレですが、信吉は主人公の晴夫が務めるマジックバーのマスターだったのです。マスターを演じたのは小石至誠さん(2人組マジシャン,ナポレオンズの背の低い方。喋りだけで手品できない方)ちょっと待って下さい、年齢設定が・・大泉洋さんが39歳、その10歳上となると、小石さんは49歳?そりゃ厚かましい。小石さん還暦超えてるでしょう。(どうでもいい話でした)

■感動して下さい、という意図は判るのですが・・

生んですぐに自分を捨てたと聞かされていた母親は、実は自分の命と引き換えに子供を生んだ。生まれた子供には、母の命を奪ったと十字架を背負わせないよう、父親はわざと嘘をついていた。これがストーリーラインですから、うまく作れば涙まみれになるほど感動するはずです。

しかしどうも軽いのです。言いにくいのですが、まず母親役の柴咲コウさんのミスマッチ。昭和の香りが全くしないのです。なんで子供のために私が死なないといけないの、さっさと堕しちゃおうと顔に書いてあります(すみません)。やっぱり柴咲さんには、もっと明るい役が似合います。

劇団ひとりの父親も同じく軽いのです。それなのにBGMは大時代的に感動を煽るフルオーケストラ。作曲はなんと「Always三丁目の夕日」等の佐藤直紀氏。もったいない。キャスティングに文句をつけましたが、俳優さんに難があるのでは決してありません。もう少し丁寧に作れば、印象も変わったきたとも思います。

蛇足ですが、昭和時代なら女優さんは女性言葉を使って欲しかった。・・だわ。・・かしら。平成前後からでしょうか、女性が少年言葉を使うようになった。・・なんだ。・・だね。(女性が少年の服装を好みだしたように)

手品を見せる少年。まだ幼い顔つき
それでも、こんなにアンニュイな表情も







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