学校の怪談(1995年) 同2(1996年) 同3(1997年)

作品総合評価 5点(3作とも)
少年の出番 60%(群像劇で少年俳優もそれなりに活躍)
寸評 この当時の子役はパワフルです。
【少年映画でない理由】主役とはいえない事
映画情報など 1995,96,97年製作。各DVD発売済
(写真は学校の怪談3の吉澤拓真君)


1995年から1999年にかけて4本製作された映画「学校の怪談」シリーズ。先に最後の「学校の怪談4」をレビューしましたが、最初の3作をまとめて掲載します。子供向けホラーとはいえそれなりに見応えはあります。でも3作ともほぼ同じような感じですので1作ずつ書く程の事はないかと。

3作目までは主役が明確でない群像劇。誰かに感情移入するのではなく、お化け屋敷のような仕掛けを楽しむもの。今見ると男女関係なく子供たちの演技は非常に達者でパワフル。当時は小学生の学校モノなどTV番組が数多くあり、児童劇団の子供たちの出番は多く、有名でなくてもプロ子役が多かったのでしょう。

不満なのは子供向け映画なのに大人が必要以上にしゃしゃり出てくること。1,2作は野村宏伸さん、3作は西田尚美さん。ともにキャスト上は彼らが主役。特に3作目は西田尚美さんの出番を半分以下にしてくれれば、これは立派な少年映画だっただけに残念です。本シリーズに登場する人物は、ほぼ以下のパターン。

(男子)
★普通系  :のび太系。物語上の一応は主役。ただし存在感は薄い。
★チョイ悪系:昔でいうガキ大将。でもオシャレでカッコつけ。最後は活躍し主役より目立つ。
★ウザイ系 :弟系。空気が読めない、ネガティブな事ばかり叫ぶ。

(女子)
★天使系 :妹系。美少女。必ず最初に禁断の場所に入ってしまう。(ロリコンの方々向けサービス)
★ギャル系:個性や自己主張の強い男勝りな少女。でも密かに主役又はチョイ悪の事が好き。
★昭和系 :姉系。古風な服装でどこからともなく現れる。母性を感じる優しい美少女。
★短髪系 :ボーイッシュ系。(監督さんの嗜好なのか、結構こだわりを感じます)


■学校の怪談1

夏休みの前日。取り壊しのために閉鎖された校舎にひょんな事からアキとミカの姉妹が入り込んだ。また古い校舎のガイコツ模型を持ち出して悪戯をしようとケンスケとショウタが忍び混む。更に下級生の双子の一人も。そして彼らは校舎の中に閉じ込められてしまった。双子のもう一人が気づき、先生(野村宏伸)とガキ大将の母親(杉山亜矢子)らと救出に向かう。キーアイテムは壊されたハニワの像

左から、ショウタ(ウザイ→普通系)、ケンスケ(チョイ悪系)、カオリ(昭和系)、アキ(短髪系)

最初に校舎に閉じ込められるのは天使系のミカ。それを助けに入ったのは短髪系の姉アキ。姉役の遠山真澄さんは男子にしか見えず、少女と判った時には少しがっかり。妹役の米澤史織さんは3作目ではギャル系に成長して出演。子供たちの主役は強いて言えばこのボーイッシュなアキ。

チョイ悪系のケンスケ(熱田一)は昔ながらのガキ大将というよりトレンディドラマに出てくるようなイケメン。ウザイ系は下級生の双子。ケンスケの友人ショウタ(塚田純一郎)も前半はネガティブ行動ばかりとるウザイ系でしたが、後半から普通系になり主役っぽくなってくるのが少し救いです。

旧校舎にひっそり現れた昭和系の美少女。実は病気で亡くなっていた幽霊。演じた岡本綾さんは人気子役。後にNHK朝ドラのヒロインにまで抜擢。映画全体の主役は先生役の野村宏伸さん。TVドラマ「教師びんびん物語」とほぼ同じノリ。この作品で印象に残るのはボーイッシュ少女だけ。

ショウタ、ケンスケのコンビはなかなか...
幽霊少女カオリに一目惚れのショウタも最後は..



■学校の怪談2

東京の小学生達が塾の春休み合宿にやってきた。場所は塾の女性講師(西田尚美)の故郷のお寺。最終日は恒例の肝試し。お寺の隣は地元の小学校。そこには4時44分の呪いの噂があった。塾生の1人が小学校に入り、ひょんな事から時計台の時計を4時44分で止めてしまった。そこへ塾の生徒達、地元のガキ大将、更には泥棒(野村宏伸)まで入ってきて学校に閉じ込められてしまった。キーアイテムは時計台の歯車

左から、ハルエ(昭和系)、キョウコ(ギャル系)、ナオヤ(普通系)、ケン(ウザイ系)、ツカサ(チョイ悪系)、ヨシオ(昭和系)

最初に時計を止めてしまうのがケン(太田翔平)。彼は心理的原因で話が出来ず、首に下げた笛で意思表示(誰も理解できないのに)。ウザイ系ですが非常に熱演。なんと泥棒が笛の意味を理解できるため、この男にまとわりつく姿が可愛いのです。ケンを探しにきたのが普通系のナオヤ(細山田隆人)

ナオヤは一応の主人公でイケメンですが影が薄い。ナオヤを追ってきたのが天使系のナナコ。演じる前田亜季さんは大人気の美少女。妖怪に昆虫標本みたいにピン刺しにされます。ナオヤが助けるのですが、そのカットはまさにロリコンの皆様向けの映像。

ギャル系のキョウコ(竹中夏海)は常にポラロイドカメラを持ち歩く高ビー少女。そのキョウコに反感を持つのが地元のチョイ悪小学生ツカサ(阿部大和)。キョウコを泣かせてやるといいながら実は淡い恋心を抱く。彼は女講師の弟との設定。そしてどこからともなく現れた昭和系の少女ハルエ(皆川香澄)と少年ヨシオ(日吉孝明)。実はツカサの祖父母だった。

本作の全体の主役は泥棒の野村宏伸さん。短髪系は今回は少女ではなく塾講師の西田尚美さん。彼女には申し訳ありませんが、やっぱりボーイッシュなら少女の方がいいのです。オバサンはちょっと。ただ本作ではあまり出番が無かったのが幸い。しかし次の3作目は...

一応主役のナオヤ。イケメンですけれど..
ウザイ系のケン。でも演技は達者で可愛い

チョイ悪系のツカサ。彼も大熱演で本当は優しい
昭和系少年のヨシオ。半ズボンですがやや長い



■学校の怪談3

運動会。リョウとマユコは二人三脚で転んでしまった。この小学校にはタイチという少年の霊がいて二人三脚で転んだ子供が憑かれるという。タイチの世界と通じるという噂のを先生(西田尚美)が見つけた。リョウ、マユコ、アカネ、マコトの4人組は鏡を見ようと夜中に学校へ。リョウの母の再婚で弟妹となるサトル、ユカもついてきた。先生含め7人は鏡に吸い込まれてタイチの世界へ。そこは左右が反転し妖怪が跋扈している。タイチに助けられて元の世界へ戻れたが...。キーアイテムは二人三脚で足を縛るヒモ

20年前に死んだ幽霊少年タイチ(比嘉タケル)と主人公のリョウ(吉澤拓真)が手を取り合って...

主役は普通系のリョウ(吉澤拓真)。全2作と違い、わりと明確な主役という位置付け。天使系のマユコ(前田亜季)とは公然のラブラブ関係。前田亜季さんは前作に続いての出演。本作のアイドル的存在。この2人と常に行動を共にするのが、ギャル系のアカネ(米澤史織)とウザイ系のマコト(山田一統)

マコトは完全三枚目役。マザコンでネガティブな言動ばかり。しかし気の強いアカネに恋心を抱き、自分を変えようと努力。映画では全裸姿も(ポッチャリ三枚目系男子に人権はないのか?)。そして本作ではウザイ系と天使系にもう1組のダブルキャスト。リョウの義理の弟サトル(豊永利行)と妹ユカ(野口由佳)

ユカは幼いけれど本当に美少女。口は悪いけれど新しく兄になるリョウになつきます。一方のサトルは本当にクソガキ。僕は未来のビル・ゲイツと公言して屁理屈ばかり。7人の足手まといにしかならず、捨てていけばいいのにリョウは兄としてサトルを見捨てません。エライ!これぞ主役少年。

そしてタイチ(比嘉タケル)。20年前に亡くなった幽霊少年。体が弱くて運動会はいつも見学。リョウはタイチの無念さを知って短い間ですが親友になります。いやこのシーンはBLっぽくて本当に良かった。念願の二人三脚。リョウとタイチ2人でするのか思いきや、マユコも入れて三人四脚(マユコが嫉妬しないように)

本作ではチョイ悪系と昭和系女子は出演なし。短髪系は先生役の西田尚美さん。野村宏伸さんも出演していますが1カットだけ。そのため西田さんが主役。ボーイッシュなんでしょうが見たくない(すみません)。リョウを完全に主役にしてくれると素晴らしい少年映画だったのに。本当に残念です。

リョウとマユコは二人三脚で転んでしまった
(この頃の体操服はまだ白短パン)
リョウの弟となるサトル、妹となるユカ

リョウの後ろはマコトとアカネ
タイチを真ん中にリョウとマユコが三人四脚
(よく見ると足を結んでいるのはリョウとタイチだけ)







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