いぬのえいが (2004年)

作品総合評価 4点
少年の出番 10%(出番少ないけれど一番良かった)
寸評 内容は陳腐。泣かせる意図が見え見え
【少年映画でない理由】出番過少
映画情報など 2004年製作。DVD発売中
(写真は一応主人公?の少年時代役の石坂良磨君)


TV局や映像制作会社が次々と仕掛けるお犬様映画。どれだけマンネリでも陳腐でも興行的には外れが少ないからでしょう。そう思って自分から見る事はありませんでした。例によって本サイト客員のノースエンド先生のレビューを見て、少しだけ興味を持ちDVDを鑑賞しました。

映画はオムニバス形式ですが、一応メインは「ポチは待っていた」(犬童一心監督)。そこへ短編やアニメが7本割り込むような形で構成されています。ネットで感想を見ると最後の「ねぇマリモ」(真田敦監督)には泣かされたと高評価多数。後はクソ作品だそうで...(これに関しては後で反論します)

私の感想ですが、内容は想像していた通りの安易なテレビレベルの作品。でも10分ほど登場した少年役の石坂良磨君が意外にいいのです。名演技とか熱演とは正反対の淡々とした表情がいい。服装もナイス。

孤独な少年にとってポチは友人以上の存在だった
■ストーリー

CMプランナーの山田(中村獅童)は、ドッグフードのCMを担当していたが、関係者の無責任なワガママに翻弄されて疲れ果てた。そしてふと少年時代の事を思い出す。ある地方へ越してきた山田(石坂良磨)は友人が出来ずに一人で空地でいると犬がやってきた。ポチと名付けて2人(1人と1匹)は毎日楽しい時間を過ごすようになった。

空地の近くのパン屋で毎日アンパンを1個だけ買いポチに食べさせるのも楽しかった。パン屋の少女がそれを見て、そっとアンパンを1個おまけしてくれたり。ある日、山田の投げたボールが草むらの奥へ。ポチが探していると急な豪雨になり山田は発作を起こして倒れ救急車で病院へ。ポチはボールを加えて救急車を追いかけるが...

ポチは山田の帰りを何年も待ち続ける。そして山田の入院した病院の前で一生を終えた。成人した山田が戻ってきた夜、ポチがボールを持って現れた...(以上が「ポチは待っていた」のあらすじ。他の話は省略)

■忠犬って人間の押しつけではないか...

忠犬ハチ公、あるいは名犬ラッシーと同じ構図です。犬は恩義を感じている人間をご主人様として一生涯にわたって仕える運命なのでしょうか。この恩義というのは、エサをやった、育ててやった、遊んでやった、そのくらいのもの。これって人間の思い上がりでは...

たとえば主人公の山田君。小学生の時にポチと別れて以来、オッサンになるまで何をしてたの?必死でポチを探したの?自分が仕事に行き詰まった時にポチの事を思い出したみたいで...それでもポチは山田君を待っていてくれる。なんかご都合のよい事で...

ラストの「ねぇマリモ」は、生まれたばかりの女の子と一緒に育ったマリモ(雌犬)が、女の子よりも先に成長し、そして女の子が高校生になった時に死んでしまった。そんなマリモの事を泣いて下さいとばかりに演出。それはそれで構いません。

女の子と犬は姉妹のように育つ。これは人間の女の子の視点であって犬のマリモの事は判らない。なのに映画ではマリモが女の子に感謝している...と。これ本当でしょうか?

例えばマリモは数匹の子供を産んでるようですが、女の子の家に仔犬はいません。誰かにあげたのか、売り飛ばしたのか。マリモにしたら大事な子供を奪ったとんでもない人間だと思っているかもしれません。

さすがに自分で書いていて「何でもっと素直になれないの?」とも思います。文句ばかり書きましたけれど映画は映画。やっぱり楽しんで見なければ。エンタメとして割り切れば、多くの監督さんの作品がぎゅっと押し込まれたお得な映画です。

少年は友人がおらず、いつも一人で空地に
そこへボールをくわえた柴犬のポチが...
(飼い主はいないのかな...)

パン屋でいつもアンコパン1個を買う
(パン屋の少女がそっと1個おまけ。初恋かも)
初恋で浮かれたのかボールを思いっきり投げた
(ポチ様と少年の脚。どちらも凛々しいですなあ)

ボールを追ったポチが帰って来ない
(その時雷鳴が轟いて豪雨に。少年は持病の発作を...)
倒れた少年をポチが見つけ,パン屋の少女を呼んだ
(これがポチと少年の今生の別れになった)


大人になった山田(中村獅童)が犬の鳴き声につられて外へ出ると...
そこにはポチが。そして山田はいつの間にか少年の姿に。やっと会えたんだ!







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