夕陽のあと (2019年)
作品総合評価 |
B+ |
少年の出番 |
40% |
寸評 |
生みの親か、育ての親か。難しい問題です。 【少年映画でない理由】母親がテーマの作品 |
映画情報など |
鹿児島県長島町の地元映画。DVD発売中。 写真は松原豊和君。 |
鹿児島県長島町の町おこしの一環として製作された作品。まさにジモティー(地元)映画そのものなんですが、観光映画ではなく本当にしっかりと作られた作品です。非常に大きな問題を提起しています。たた提起されていますが、着地点はやや曖昧なのが残念。WOWOWで鑑賞しました。
村祭りの太鼓をたたくトワ。完全に地元っ子だ...
(東京生まれで、乳児の時に育児放棄された事は本人も知らない)
鹿児島県長島町。7歳の少年トワ(松原豊和)は祭り太鼓の練習に夢中だ。トワは乳児の時に東京で育児放棄され、長島町の里親の家にやってきた。里母のサツキ(山田真歩)はトワを育てて6年、正式に養子縁組手続きを開始した。しかし実母のアカネ(貫地谷しほり)が刑期を終えており、同意が必要と言われる。
なんとアカネは長島町の市場で働いていたのだ。息子のトワを追いかけて見守るために。ここから里母と実母の争いが勃発。サツキはトワの育った環境を知りたいと東京に出かける。そして母子の悲惨な現状を目の当たりにした。長島町に戻ったサツキはアカネと話し合う。トワは何も知らない。今はこのままで...
問題を先送りしただけ。でもこれが妥当だと思う。
少年は赤ん坊の時に実母に捨てられた事は覚えていない。今いる両親を本当の両親だと信じて疑わない。優しい祖母もいる。学校の行き帰り。トワに優しく声をかけてくれるおばさんがいる。トワもそのおばさんに好意を感じていた。
そのおばさんは実母のサツキ。さすがに「私が本当のお母さんよ」とは言えない。でもこのままトワを他人に渡してしまいたくない。しかしサツキがトワに真相を告げたたらどうなるのか。まだ7歳のトワ。
赤ん坊の時に捨てられ、今また信じていた里親に捨てられる事は二重の衝撃になる。いくら事実とはいえ7歳の少年にはあまりに過酷。真実を受け入れられる時がくるまではそっとしておくしかない。
まあ男の子の一番可愛い時に母として存在できないのは辛いでしょう。成長してグレて「ババァ、うぜぇんだよ!」なんて言うようになったら、ポイポイと捨ててしまいたくなるのでしょうけれど。
本作で印象に残るのはトワ役を演じた松原豊和君。地元のオーディションで選ばれた少年。実年齢は10歳。彼の表情が本当にいいのです。東京のスレた子役とは違って、自然のままの表情。少しはにかんだような笑顔も可愛い。
トワ。本当の両親と信じて疑わない。
(里親もトワを本当の子供にしたい...)
里母のサツキとトワ。どこにでもいる母子。
まさか実母がこの町に住んでるなんて...
市場のおばさんの自転車に乗せてもらうトワ。
(おばさんは優しい。でも実の母とは思いもよらず)
妙な空気を感じ始めたトワ。お母さん怖い。
そんなことないよ。祖母は優しく言ってくれた。