ツユクサ (2022年)

作品総合評価
少年の出番 約6割(準主役の)
寸評 中年女性の親友は小学生男子。これが自然で...
【少年映画でない理由】あくまでも女性映画です。
映画情報など 2022年公開。DVD発売中。
写真は斎藤汰鷹君。


これを書いている2022年公開作品ですが、タイトル名さえ知りませんでした。ある方から少年俳優がいい役を貰っているよ、と聞いてDVDをレンタル。本当にキーマンともいえる役。斎藤汰鷹君は結構いろいろな作品に出演しています。

フミとコウヘイ。年齢差なんて関係なし。2人は対等な関係の親友だった。

中年女性フミ(小林聡美)は静岡県の小さな港町へやってきた。小学生の息子の遺影と一緒に一人暮し。職場の同僚の息子コウヘイ(斎藤汰鷹)とは何でも話せる歳の離れた親友だった。ある日、隕石がフミの車に衝突。コウヘイと2人で探し回り、隕石を発見。2人はそれを2つに割ってお守りにした。

フミは道路工事の警備員の男(松重豊)が気になり、やがて恋に発展する。男は元歯科医で妻は自殺したという過去を背負っていた。コウヘイの父は母の再婚相手で距離があったが、フミに一喝されてから父との距離を縮めた。やがて父の転勤で新潟へ行く事に。お別れの日、フミはコウヘイを抱きしめる。


過去の傷を持った中年の男女がお互いに惹かれ会う。簡単に言えばそんなストーリー。女性は小林聡美さんが演じているので、ほぁーんとした雰囲気で悩みなんか無いに見えるのが少しミスマッチ。でも彼女は買物を言いつけた息子が踏切で事故死。それ以来、踏切の音を聞くとおかしくなる。酒に溺れて離婚...

踏切が無い町へやってきて仕事にありつけて、断酒活動にも取り組む。そして何と言っても職場の同僚の息子コウヘイと出会ったこと。自分の息子への贖罪の気持ちもあったのでしょうが、それよりも息子と同じ目線で日常を過ごせる事が、彼女にとってどんなに有り難かった事でしょう。

松重豊さん演じる男。腕のいい歯科医だったが、うつ病に悩む妻の気持ちを理解しようとしないまま妻は自殺。高収入の歯科医を捨てて、工事現場の日雇いガードマン。やはり亡き妻への贖罪でしょうか。そんな負の部分が、お互いを引き寄せたのでしょう。

さらに2人を結びつける触媒がコウヘイ。コウヘイだって小さいながらも悩みを抱えています。血のつながらない父との関係。密かに恋するクラスの美少女。彼女が同級生のイケメンとキスをするのを見てしまい、ちょっと荒れてしまったコウヘイ。でも親友フミはピシャリとたしなめます。

隕石がぶつかったり、ラストシーンで空を飛んだり?、ちょっとお遊びもありますが、中年女性と少年の友情という部分をもう少し描いて欲しかったかな。斎藤汰鷹君はイケメンではありませんが、本当にいい味を出していました。色んな作品に呼ばれる理由も判るような気がします。

コウヘイは天体観測オタク。流星をみつけた。
その流星がフミの車に衝突するとは...
海で隕石を見つけて大学で鑑定して貰った。
2つに割れた隕石。コウヘイとフミは御守りに。


フミの彼氏?にルートビアを奢って貰った。
ゲェー!なにこれ? ノンアルですけど子供には...
コウヘイは彼氏を「いい場所」に連れて行った。
UFOのオブジェ? なにか崩壊しそうな危険も...


梯子を登ってUFOの底から顔を出してみると...
そこには先客が二人いた!
密かに思っていた美少女がイケメンとディープキス。
コウヘイの中で何かが崩れ去った...


コウヘイは新潟へ。別れの時。フミはコウヘイを抱きしめる。恥ずかしいよ。でもコウヘイは嬉しかった。


※後記
タイトルのツユクサ。松重豊さん演じる男性は草笛の名手。一番いいのがツユクサだそうです。
エンドロールで流れる主題歌は中山千夏さんの♪あなたの心に。映画のために新規録音したのではなく、半世紀以上前の1969年の音源をそのまま流しているようです。これが予想外にいいのです。

中山千夏さんといえばずっと昔のエッセイで、男の色気について語っていました。筋肉モリモリも痩せっぽちもダメ。少年ぽい人がいいとか。「現に私は今、12歳位のちょっと大人びた少年にタダナラヌ色気を感じるのだ。話が変態じみてきたので、この話は終わり」というような文章が印象に残っています。今でいうショタコンだったのですね。当時は変態扱い。今でもかもしれませんけれど。





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