奇談 キダン (2005年)

作品総合評価 隠れキリシタンの伝奇と闇を描いた佳作ホラー。
少年の出番 神隠しにあった少年。ほんの少し。
寸評 主人公の女性がキャーキャー系ではなく、理性的なのがいい。【少年映画でない理由】出番過少。
映画情報など 2005年公開。DVD販売終了(中古あり)。
写真は、田中碧海君。


2005年、Jホラーブームの頃。本作は映画館で鑑賞しました。当時は(東京と言いたいところですが)関東在住でしたので、新宿西口の金券ショップで投げ売り同然の前売券を買って、まだ映画館の多かった歌舞伎町の映画館へ。もうほぼ20年前のこと。

神隠しから17年。7歳の姿のままで戻って来た新吉少年は...

大学院生のサトミ(藤澤恵麻)は研究調査のため故郷の村へ。彼女は7歳の頃に神隠しにあったが記憶が無い。故郷のすぐ隣にハナレという集落があり、今でも独自のキリスト教を信仰。研究室の教授(阿部寛)も合流してハナレに向かう。そこでは50年に一度子供たちの神隠しが起きるとの話を聞いた。

その時ハナレの住民が磔で殺害された。さらにサトミと一緒に神隠しに合い行方不明だった少年新吉(田中碧海)が出現。7歳の姿のままで。新吉はハナレの洞窟に姿を消した。サトミたちが後を追うと、断崖の底に神隠しに合った人間が蠢いており、丘の上に3人のヨハネが出現して祈りると、人間たちは天国(パライソ)へ昇天していった..


本作で一番印象に残っているのは、ヨハネを演じていた白木みのるさん。若い方はご存知ないかもしれません。吉本興業所属の元役者・芸人さん(2020年没)。低身長と高い声で強烈な個性の芸人さんでしたが、本作公開の2005年でも「まだご健在だったの」的な感じでした。

江戸時代まで禁教だったキリスト教ですが、隠れキリシタンとして生き残っており、中には本来のキリスト教とは異なる独自の宗教になってしまったものもあるとか、ないとか。本作はそんな伝奇的な話をうまく盛り込んでいたと思います。

7歳の子供を神隠しにする。これは日本古来の伝承的な言い伝えでしょうか。本作では7歳の男の子と女の子が神隠しに合うのですが、女の子の方は戻ってきました。ただ行方不明だった頃の記憶はありません。戻ってきた意味は映画では判りません。神様に気に入られなかった?のかも。

男の子も一瞬だけ戻って来るのですが、7歳の姿のまま。しかし3人のヨハネの祈りによって天国へ行くことが出来ました。これでめでたし、めでたしなのでしょうか。天国へ行けなかった主人公の女性はどうなるのか。続編でもあればいいのですが。


17年前。7歳の女の子と男の子が神隠しに。
左の女の子は戻って来て本作品の主人公に。
男の子は新吉。戻って来なかった。
つぶらな瞳が痛々しい。


大学院の研究で地元に戻ったサトミ(右)の前に...
1人の少年が出現した。一緒に神隠しにあった新吉だ!
聞きたいことが山のようにある。
しかし悲しそうな顔で無言のまま去っていく...



キリシタンの集落ハナレ。そこには江戸時代から神隠しにあった子供たちがいた。みんな7歳の姿で。
(なぜか男の子ばかり。他のカットに女の子もいたのかもしれませんが)



後記
男の子を演じた田中碧海君。当時はテレビ番組やCMで売れっ子の子役さんでした。ホラー映画『呪怨』シリーズで白塗りの俊雄役を演じたこともあるようですが、今は詳細不明とのこと。





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