時は大正時代。舞台は広島県にある石内(いしうち)尋常高等小学校。6年生を担任する市川先生(柄本明)は厳しいが、学童たちに慕われていた。級長の良人(吉久直希)もしっかりクラスをまとめる少年だった。
良人たちが卒業して30年後。市川先生は定年退職。まだ戦後の混乱が続く中で同窓会が開催され、教え子たちが集まった。当時の面影を残しながらも逞しい大人になっている。級長だった良人(豊川悦司)は東京で脚本家を目指していたが、苦しい生活だった。しかし市川先生と再会し、新たな決意を込めて東京へ戻っていく。
作品総合評価 | 新藤兼人監督のライフワークといえる作品。 |
少年の出番 | 小学生時代は約30分。 |
寸評 | 教師の退職会に戦前の教え子たちが集まる。説教臭さも少し感じるが...【少年映画でない理由】教師が主人公。 |
映画情報など | 2008年公開。DVD発売中。 写真は級長役の吉久直希君。 |
新藤兼人氏が95歳の時に監督した作品。頑固だが人情味のある教師と教え子たち。そして垣間見える反戦思想。私としては好きなジャンルではありませんが、新藤監督の執念に敬意を評したいと思います。
時は大正時代。舞台は広島県にある石内(いしうち)尋常高等小学校。6年生を担任する市川先生(柄本明)は厳しいが、学童たちに慕われていた。級長の良人(吉久直希)もしっかりクラスをまとめる少年だった。
良人たちが卒業して30年後。市川先生は定年退職。まだ戦後の混乱が続く中で同窓会が開催され、教え子たちが集まった。当時の面影を残しながらも逞しい大人になっている。級長だった良人(豊川悦司)は東京で脚本家を目指していたが、苦しい生活だった。しかし市川先生と再会し、新たな決意を込めて東京へ戻っていく。
吉久直希君が演じた良人。この役は新藤兼人監督自身の体験を基にしているようです。秀才で美少年だった小学生は、戦争末期に海軍に招集され、もう30歳を過ぎていたのに自分より階級が上の少年兵にこき使われ、暴力を受ける毎日。任務は海軍施設の掃除だったとか。
そんな良人を小学生時代から密かに片思いしていたのは副級長のみどり(大竹しのぶ)。しかし結局、その恋は実らず、別の男性と結婚。それでも同窓会で久し降りに良人を会うのを楽しみにしている様子が微笑ましいのです。
小学生時代はクラス1番の秀才で人気のあった良人ですが、東京へ出たものの脚本家の仕事にありつけず貧乏暮し。そんな負い目をもったまま同窓会に出席。演じたのが豊川悦司さんですので、やっぱりクラスの中でも思いっきり目立つ存在でした。
後記
新藤兼人監督。95歳の時に監督した本作が最後だと思っていましたら、なんと3年後の98歳で『一枚のハガキ』を製作。やはり主役は豊川悦司さん。その妻役に大竹しのぶさん。今度はめでたく夫婦の役。その他、柄本明さんなど、本作と同じ出演者が大勢。キネマ旬報ベストテンで1位。