日本海に面した敦賀。その郊外に住む少年(平岡大樹)は父と2人暮し。父は仕事もせず酒浸り。少年は小学校でも授業は上の空。町外れの廃屋で音楽を聴くのが唯一の楽しみ。その廃屋へ母娘がやってきて住み着いた。
まだ年端もいかない少女の娘はなんと臨月。娘は廃屋の2階で寝ている。少年はその真下の部屋に寝転がって天井の隙間から少女をみる。娘の母親は少年を追い出そうとするが、少年は従わない。やがて出産が迫るが、少年はなぜかそれを阻止しようとする...
寸評 | 祝福されるはずの生命誕生。それを否定していいのか。 |
少年の出番 | 一応、主役なのですが共感できず。 |
映画情報など | 2007年PFFで受賞。DVD絶版(中古あり)。 写真は平岡大樹君。 |
2007年のPFF(ぴあフィルム フェスティバル)で審査員特別賞を受賞した約50分の中編。配信で鑑賞しましたが、今ひとつ共感を感じない作品でした。
日本海に面した敦賀。その郊外に住む少年(平岡大樹)は父と2人暮し。父は仕事もせず酒浸り。少年は小学校でも授業は上の空。町外れの廃屋で音楽を聴くのが唯一の楽しみ。その廃屋へ母娘がやってきて住み着いた。
まだ年端もいかない少女の娘はなんと臨月。娘は廃屋の2階で寝ている。少年はその真下の部屋に寝転がって天井の隙間から少女をみる。娘の母親は少年を追い出そうとするが、少年は従わない。やがて出産が迫るが、少年はなぜかそれを阻止しようとする...
有精卵の中心部の透過映像のようなものが度々挿入されます。新しい生命を象徴していると思うのですが、本作ではそれを悲劇にように演出。少子化の進む日本ではもったいない話です。
少年に母親はいません。母親の使っていた鏡台だけが残され、母親の匂いが残るマニュキュアを持ち出して廃屋の中でフタを開けます。父は朝から仕事もせず、少年に朝食を準備させます。といってもコンビニ弁当。お金はあるようですが、生活保護なのか、それとも闇の仕事なのか。
たぶん母親には捨てられたのでしょう。生きていても何にもいい事はない。そんな思いに囚われているのかもしれません。そして自分と年齢もさして変わらない少女が赤ん坊を産む。しかしその子の将来は不幸しか待っていない。そう思って出産を妨害したとしたら...
ラスト。少女は破水したのか、体液が流れ出ます。無事出産したのか、悲劇に終わったのか。とにかく後味がたまらなく悪い作品。少年には全く感情移入できず、臨月の少女の無事を祈るばかりでした。
後記
PFFの作品は2007年度くらいまでは受賞作がDVD化されていました。今は配信で見れます。かつては少年俳優が登場する作品が毎年1つくらいはあったのですが、いまは殆ど無い感じです。製作はアマチュアですので、かつては俳優さんを使う人件費を抑えるために、安い?子役を使ったのかもしれません。今は売れない俳優(シツレイ)を安く起用できるのうえに、子役を使うと制限もあり、却って高くつくのでしょうか。