サユリ (2024年)

少年の出番 主人公の弟で10分ほど。主人公役の南出凌嘉君は中3役でも既に青年。
寸評 理不尽な亡霊に反撃開始。パワフル婆ちゃん。主人公の兄は可愛い弟を守ってやらないと。
映画情報など 2024年公開。BD/DVD発売中。
写真は猪股怜生君。


監督は白石晃士さん。ここ数年の日本のホラー界ではダントツに好きな監督さんです。かつてのJホラーで脚光を浴びた監督さんよりもずっと面白い。映像も個性的。ただ少年俳優をあまり使わないのが残念。でも本作の主人公は中学生男子。とお婆ちゃん。

中古だけれど念願のマイホーム。しかし何か邪悪なものが上にいる。
それを感じたのは、認知症の祖母(左)と小学生の弟(中央)だけ。

中3のノリオ(南出凌嘉)は祖父母、両親、姉、弟(猪股怜生)の家族7人で中古だが豪華な一軒家に越してきた。しかし弟と認知症の祖母は家に不吉な影をみた。やがて父と祖父が相次いで急死。姉は何かに取り憑かれて夢遊病になり、弟を殺して自分も刃物で自殺。母も首を吊って自殺。あっという間に家族は祖母とノリオだけに。

しかし祖母の認知症が消え失せ、元来の気丈な性格が復活。この家で殺されたサユリの怨霊が全ての原因と突き止め、怨霊へ宣戦布告。サユリを殺した家族を探し出して家に拉致し、家族の目の前でサユリの怨霊を除霊する。サユリ事件は白日に晒されて一見落着。祖母はまた認知症になりノリオと二人で慎ましく暮すことに。


主人公のノリオ。全て受け身の中学生で自分では何もしない。クラスメイトに霊感のある少女がいて、色々とアドバイスを受けながらも流すだけ。弟も不明瞭ながらSOSを発しているのに。結局、弟を助けることは出来なかった。イライラが残る主人公。演じた南出凌嘉君。ぱっと見は童顔なのですが、やはり中学生役はキツい。本当の中学生に演じて欲しかった。

それに反して根岸季衣さん演じるお婆ちゃん。彼女が主役といっていい程の小気味よさ。ゴッドマザーというかゴッド婆ちゃんというか。死んでるくせに生きてる者をなめてはいかん! そんな感じでサユリの怨霊を退治します。庭に埋められていた人骨と、この家に以前住んでいた家族の調査。

さらに頼りない孫のノリオの性根を叩き直します。まるで映画「ベスト・キッド」(1984)の空手の師匠にように。圧巻は前住者の家族全員を縛り上げて車の床に転がして連れて来たこと。お婆ちゃん一人で。怨霊より怖い怪物婆ちゃん。そんな婆ちゃんも事が済めば元の認知症に。

そして弟役の猪股怜生君。なにかもう小動物のような可愛さが全開。なのに顔を柱に打ちつけられて鼻血まみれ。サユリが憑依した姉の仕業。最後は姉に3階から投げ落とされて死亡。「おにいちゃん、おにいちゃん」と兄ノリオを呼ぶか細い声が耳について離れません。死なさなくてもよかったのに。


ノリオ(南出凌嘉)と弟(猪股怜生)は同じ部屋で寝る。
姉は念願の個室を貰った。その部屋はサユリが殺された部屋...

家族が揃った食卓はこれが最後。家族は次々と死んでいく。
弟の鼻の絆創膏は、サユリに憑依された姉から受けた暴行の跡。

何か胸騒ぎがして兄に話しかける弟。しかし兄は無視。
これが生きている弟を見る最後となるのに...

一人で下へ。階段の上に姉がいた。「おねえちゃん何してるの?」
(そいつは姉とちゃうで。ついていったらあかん! 思わずそう言いたいが、結局殺された)



※後記
弟役の猪股怜生君。映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』でも主人公を演じた寺田心君の弟役を演じていました。天才子役と言われる寺田君に負けない演技力でした。それだけに本作でも最後まで活躍して欲しかったのですが、原作モノですので仕方ありません。





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