お引越し (1993年)

少年の出番 主人公少女の同級生役。ほんの数分だけ。
寸評 とにかく主演の田畑智子さんが素晴らしい。日本の少女映画の傑作の一つ。
映画情報など 1993年公開。DVD発売中。
写真は同級生役の茂山逸平君。


まずお詫びです。相米慎二監督作品で田畑智子さんのデビュー作。日本の少女映画の最高傑作の一つだと思います。田畑さんは各映画賞の新人賞をほぼ総なめにするなど、今でも評価の高い作品。しかしながら本サイトは少年映画サイトですので、チョイ役の少年俳優メインで紹介します。田畑智子さんのファンの方には本当に申し訳ございません。

主役のレンコ(田畑智子)と同級生のミノル(茂山逸平)

京都に住む小学生のレンコ(田畑智子)の両親が離婚することになった。それに先立って父(中井貴一)は家を出て別居。母(桜田淳子)と二人暮しに。両親の離婚に納得できないレンコは悩む。学校の同級生、祖父母たちとも、どこかすれ違いを感じる。夏祭りの日。一人でさまようレンコ。なにか吹っ切れたような感じがした...


両親の離婚。今ではごく普通の出来事です。しかし子どもにとっては悲しい出来事に違いありません。家族に暴力を振うようなクソ親父なら別ですけれど。しかしどんなクソ親父でも「父ちゃん」「パパ」と愛した、愛してくれた瞬間があったのなら、悲しみもあるでしょう。

舞台は京都。昔ながらの風情が残る街。でも母役の桜田淳子さん、父役の中井貴一さんは京都人ではないのが、この作品のポイントの一つではと私は思っています。今ではインバウンドの外国人が多いのは周知の通りです。でも千年の都ですよ。信長も秀吉も京都を目指し、数多くの渡来人もやってきた都。

主人公レンコに絡む二人の同級生。一人は既に両親が離婚した少女リサ。リサの冷めた態度が気に入らないレンコは彼女とビンタ!の張り合い。ビンタの巻き添えを喰ったのがミノル。ミノルはレンコに気があるようで、色々とアドバイスをします。

ミノル役は茂山逸平君。今では狂言の第一人者のひとり。本作出演時点では既にNHK朝ドラ「京、ふたり」で人気子役になり、テレビCMにも出演。でも相米慎二監督の扱いは冷たいものです。あくまで主役は田畑智子さん。これは仕方がありません。チョイ役でも出演しているだけで存在感は感じました。

※なお、リサ役の遠野なぎこさん(本作出演時の名前は青木秋美さん)は、これを書いている2025年の7月に45歳という若さで逝去されています。お悔やみ申し上げます。


レンコ(左)とリサ(右)が殴り合い(平手打ち)の喧嘩。止めに入ったミノル(中央)
この後、勢い余ったレンコの平手がミノルのほっぺたを直撃。
(長髪美少女リサを演じた遠野なぎこさんは今年2025年、逝去)

理科室。逆上したレンコは火のついたアルコールランプを投げた。
担任教師(笑福亭鶴瓶)は慌てて火を消す。児童たちも慌てて避難。


レンコが夜の神社を歩いているとミノルがやってきた。
ミノルはどうやらレンコの事が好きだった。


両親が離婚を前提に別居した事などを相談するレンコ。
(ミノル役の茂山逸平君。ちょっと太めですなぁ...)


また別の日。レンコが川で魚をとっているとミノルもやってきた。
よっぽど好きなんだろうなあ。でもレンコは素っ気ない。



※後記
2025年カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選ばれた『ルノワール』も、本作と似たような少女の心の揺れを描いた作品だとの事です。監督の早川千絵さんは『お引越し』にインスパイアされた部分もあるとのコメントも見ました。残念ながら『ルノワール』は未見ですが、配信とかBlu-rayで早く見たいものです。舞台が1980年代後半との事ですので、『お引越し』の茂山逸平君のような同級生が出てたらいいのですが。





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