UFO少年アブドラジャン (1992年)

製作年・国 1992・ウズベキスタン
少年映画評価 B+
お薦めポイント 特撮は稚拙。ET、かぐや姫、星の王子様の味わい。
映画情報など DVD発売中。
写真はシュフラト・カユモフ君。


中央アジアにあるウズベキスタン。本作の前年にソ連から独立。名前は聞いた事はありましたが、どんな国か全く知らず興味もありませんでした。でも本作品のおかげで、中央アジアの国々の地理や歴史を少し勉強させてもらいました。イスラムの国ですが、原理主義や厳しい戒律は少なく、穏やかでふんわりした国のようです。

いきなり「スティーブン殿、あなたの『E.T.』を見ました」とのナレーション。以後ずっとスピルバーグ監督への語りかけ。お金のない本作を卑下しているような話ぶりですが、そこにはユーモアと自信もたっぷり。日本のネットでの感想も結構な高評価です。

農夫バルバザイは全裸の少年を見つけた。UFOに乗った宇宙人?

ある村の村議会議長にソ連中央部から電話。UFOと宇宙人がそちらへ向かった。何かあれば報告せよ。議長は村民に注意を呼びかける。そこへお鍋のようなUFOが墜落。農夫バザルバイが全裸の少年(シュフラト・カユモフ)を発見し家へ連れて帰る。妻は隠し子だと激怒するが、少年には罪はないと受け入れた。アブドラジャンと命名。

少年の股間には何も無い。頭を丸刈りにされても数秒で毛が伸びて元通り。旱魃の畑に雨を降らせ、スイカや野菜を巨大化。村人に(農具の)クワに乗って空中飛行する方法を教える。しかし議長だけが空を飛べず悲観して自殺未遂。農夫が俺に恥をかかせたと怒り、少年を追い出した。少年はUFOで去っていく...


宇宙人の外見はごく普通の男の子。ただし股間に性器はありません。完全生命体なので生殖行為は不要。排泄物もありません。ここは興味あるところですが、あまり突っ込むのも野暮というところ。AI のような知能で現地の言葉や情勢を把握。農夫と妻をお父さん、お母さんと呼ぶ事が少年の保身になると判断。

UFOが墜落した時に部品を紛失。実は農夫が拾ったのですが、今度は妻がそれを隠しました。ラストシーンで少年が農夫に追い出された時、妻は少年にその部品を渡します。また帰ってきてね。うん。何とも普通の別れ。ETのような感動の押付けが全くないのがいいなあ。

農夫は少年に尋ねます。お前の星は素晴らしいんだろ? 家はどれだけ広いんだ? 少年は直径18歩だよ。そりゃまた狭いんだな。1つの星に1人ずつ住んでるのさ。これって完全に星の王子さまのパロディ。

少年役のシュフラト・カユモフ君。とびきりの美少年という訳ではありませんが可愛いのです。また農夫のオッサンも性格が可愛いのです。少年がドラえもん、オッサンがのび太。そんな関係にも見えました。最後に少年を追い出しますが、すぐに反省して「帰ってきてくれ」と叫ぶのも可愛いところ。

1点だけ矛盾。完全生命体で生殖行為不要なのに、宇宙人少年は隣の家の少女に初恋をします。郷に入れば郷に従え、とばかりに地球人風になったのかも。とにかくショボくても、どこか温かいお話。皆様もDVDをご覧になってみて下さい。

宇宙人少年の乗ったUFOが墜落。
その時紛失した部品を探していた。
農夫は少年に服を着せ、家に連れて帰った。
妻は激怒。よくもそんな隠し子を作っていたわね!


暑苦しいからと丸刈りにされたが、数秒で元通り。
ETが傷を治すのと同じ。地球人の髪は元に戻らないの?
お金が無いと嘆く農夫。少年は硬貨を巨大化してあげた。
驚いた農夫。今度は紙幣を出して枚数を増やしてくれ。


隣の家の少女に一目惚れした宇宙人少年。
性というものが無いのに初恋とは...
農夫と作業しながら笑いこける宇宙人少年。
この素朴な笑顔が可愛いなぁ...美少年ではないけれど。


農夫の肩に顔を寄せる宇宙人少年。
もう本当の父子のようだった。
些細な事で農夫は少年を追い出した。
お別れの時。まるで、かぐや姫がお月様に帰るみたい...



※後記
日本とは全く縁の無さそうなウズベキスタン。しかしウズベキスタンの人にとって日本は憧れ?の国でした。パナソニックとか叫ぶ農夫も。宇宙人少年のおかげで村のラジオ修理屋のオヤジが、超高性能hifiビデオデッキを製造。なんと1kg1ドルで世界に出荷。日本メーカーの営業担当者が出てきて、これでは商売にならないと泣くシーンまでありました。1992年。日本の製造業は世界の果てまで浸透していたのですね。今は...これは禁句。





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