オーバー・ザ・トップ (1987年)

製作年・国 1987・アメリカ
少年映画評価
お薦めポイント 自分を見捨てた父との絆を取り戻す少年
映画情報など 1987年国内公開。BD/DVD発売中。
写真はデヴィッド・メンデンホール君。


シルヴェスター・スタローン主演。闘魂オヤジと息子モノという定番ジャンルの作品。映画の内容はお決まりのパターンですが、どの作品も息子役の少年俳優の演技に助けられて最後はホロっと感動させられます。マンネリでもいいので2,3年に一度はこの手の作品を作って欲しいところです。

陸軍の幼年学校卒業式。12歳のマイク(デヴィッド・メンデンホール)の前に見知らぬ男ホーク(シルヴェスター・スタローン)が迎えにやってきた。富裕層ばかりの中で場違いな服装と大きなコンボイ・トラックで。10年前に別れた父だった。マイクは拒否するが、病気の母からの依頼との事でしぶしぶトラックに乗った。

自分と母を見捨てたホークにマイクは心を開かない。ホークは辛抱強くマイクとのコミュニケーションを図る。ドライブインで食事中、ホークはアームレスリング(腕相撲)を挑まれて大男に勝利。同時にマイクにも年上の糞ガキと勝負させる。マイクは泣きながらも糞ガキを破る。この出来事で二人の間の壁が溶けていった。

やがて母の病院に到着。しかし母は既に死亡。マイクは泣きながら祖父の家に帰った。葬儀後にホークはマイクを迎えに行くが祖父が拒否。ホークは暴れて警察に逮捕。マイクも父に引き取られる事を拒否。ホークは去った。そして一人でアームレスリング世界選手権へ。一方、母の遺品にホークの手紙の束を見つけたマイクは...

 それから・・

なぜ父さんは僕と母を捨てたの? マイクに問われてもホークはむにゃむにゃ・・とはっきり答えません。大富豪の義父(マイクの祖父)と折り合いが悪くて飛び出したんだろうと思われます。

別れてから母と息子に何回も手紙を書き、誕生日にはプレゼントも贈った。でもマイクには届いていない。母は自分が重病と判ってからは息子に父の本当の姿を知って貰いたいと考えたのでしょう。しかし祖父はホークを家族の一員とは絶対に認めない。

マイクは母の遺品の中から自分宛の手紙を発見(母が隠していた?)。父の思いを知ったマイクは飛び出して、アームレスリング世界選手権会場へ。祖父たちも追いかけてくる。ホークは死闘の末に優勝。マイクは父に飛びつく。祖父たちもホークの熱情に言葉がない...

こうしてマイクは父と暮すとになった。めでたし めでたし。問題はそれから。12歳の息子は可愛い。でもすぐ思春期、反抗期。結局オヤジなんか毛嫌いして出ていくんでは・・なんて夢のない事をアマノジャクな私は思ってしまうのです。余計な下世話で申し訳ありません。

でも父と息子の関係って、いつもこの問題が気になるんです。これをうまく描いたのが倉本聡氏「北の国から」。五郎(田中邦衛)と純(吉岡秀隆)の父子は確執がありながら理想的な関係のように思います。

さてデヴィッド・メンデンホール君は正統派美少年ではありませんが、本当にいい味の少年俳優でした。リアル・スティールのダコタ・ゴヨ君も同じ雰囲気。ほっそり系ではなく少し四角系のお顔がやさしくて...

卒業式の日。いきなりやってきた父のトラックに。
僕はあなたが嫌いです。目も合わせないマイク。
ドライブインで父が勝負を挑まれた。大男だ!
(心配そうな表情で父を見つめるマイク)


なんだかんだあって..父に心を開いて笑顔も。
(12歳の少年に超大型トラックを運転させるのは...)
公衆電話で母と話す。その後 父に受話器を差し出す。
(この笑顔はどこか日本人っぽくて可愛い)


これまでの空白を埋める楽しいドライブだった。
(こんなに満面の笑顔。やはり少年は笑顔が一番)
ところが一転。母が急死。葬儀の席で涙が止まらない。
(父とのんびりドライブしている間に死んだんだ!)


葬儀後。父はマイクを迎えにきたが...
お前みたいな馬の骨に孫は絶対渡せん!祖父が怒る。
腕相撲世界選手権で死闘の末に優勝した父に...
(勝って息子を抱くのは日本でも定番)



※後記
オーバー・ザ・トップは頂点を超えて。腕相撲の頂点とはスタート位置の事? これを越えて相手側に倒す事と短絡的に考えていました。でもここでトップとはその人のパワーの限界であり、信念があれば限界を超える事ができる、そんな意味のようです。ちなみにネットで調べると「ラグビーの反則行為」が1番に出てきます。2019年W杯の影響ですね。




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