Ivan & Abraham (1993年)
製作年・国 |
1993・フランス/ベラルーシ |
少年映画評価 |
A+ |
お薦めポイント |
2人の少年の逃避行と悲劇。 |
映画情報など |
国内未公開。海外版DVDあり。 写真はローマ・アレクサンドロヴィッチ君。 |
ポーランドを舞台にしたカトリック信者の少年とユダヤ人少年の友情。「またユダヤ人迫害映画か」と思いましたが、ヨーロッパの歴史的背景は本当に複雑です。少年の純粋な気持ちに感情移入。そして最後の悲劇に涙。
イワンとアブラハム。見せてよ。君のも見せてくれるなら見せるよ。
(映画の観衆には全く見せてくれません。ご安心を。)
1930年代のポーランド。14歳の少年イワン(アレクサンドル・ヤコブレフ)は修行のためユダヤ人の家庭に預けられていた。その家の9歳の息子アブラハム(ローマ・アレクサンドロヴィッチ)はイワンを誰よりも慕っていた。しかし家族は異教徒のイワンを慕う事をよく思わず、不穏な空気もあり、彼を他の場所へ移動させようとした。
それを知ったアブラハムはイワンと2人で家出。色々あったがジプシーの男に拾われた。一方でアブラハムの姉も共産主義者の男と駆け落ち。両者はジプシーの家でめぐり合い、説得されたアブラハムとイワンは自宅に戻る。しかし村は焼打ちされ、家族は全員死んでいた。2人の少年は..
本当に重い映画です。ユダヤ人を迫害したのはナチスだけと思っていました。ポーランドでは商売や取引に長けたユダヤ人の家に、息子を修行にだす習慣があったこと。ユダヤ人の能力を認めながらも、憎しみをつのらせていくポーランド人。また流浪の民であるジプシーも差別されていました。
さらに共産主義者や無政府主義者も増えて、社会は一触即発の空気。そんな中でもアブラハムは純粋で無垢。イワンは思春期全開で女の子に興味津々。それでも自分を慕うアブラハムは可愛い存在でした。
色々さまよった末に転がり込んだジプシーの家には病気の馬。その馬を治せばお前にやる、そう言われたアブラハムは必死で馬の面倒をみます。イワンは横目で眺めるだけ。それどころかジプシーの少女から結婚を申し出が。僕はまだ14歳、そう断るのが精一杯。
映画前半は2人の少年の出番が少ないのが残念。後半は主役ですけれど。アブラハム役のローマ・アレクサンドロヴィッチ君は本当に可愛い。イワン役のアレクサンドル・ヤコブレフ君は誰かに似ていると思ったら、映画『依頼人』などのブラッド・レンフロ君。ちょっと女たらし風のところとか。
転んだアブラハムの背中を、見知らぬ男の足が。
(男の憎しみに満ちた視線に戸惑うアブラハム)
家出にあたり、耳の横の髪の毛を切るアブラハム
(この髪型でユダヤ人だと判ってしまう)
野宿した2人。ジプシーと間違えられて、
馬に乗った男たちから嫌がらせを受ける。
14歳のイワン。女の子に興味津々。
(ちょっとブラッド・レンフロに似ています)
ジプシーの男の家。馬の世話をするアブラハム
(男もアブラハムのような息子が欲しかったのか)
村の惨状。イワンはアブラハムの目を覆った。
これからもずっとイワンとアブラハムだ!
(僕ら二人で生きていこう)
※後記
ユダヤ人少年といえば割礼。映画冒頭でイワンと見せ合いっこ。もう一つは髪型。耳の横の髪を伸ばすのですが、これが少年時代の聖徳太子のようなみずら(角髪)に見えるのです。トンデモ歴史書にはユダヤの民の末裔が日本までやってきた、なんて話がありますが、もしかしてなんて...