マイ・フレンド・フォーエバー (1995年)

製作年・国 1995・アメリカ
少年映画評価
お薦めポイント あざとい演出とは判っていても...涙が止まらない友情
映画情報など 1995年公開。DVD発売済み。
写真はブラッド・レンフロ君、ジョゼフ・マゼロ君


今さら取り上げるのも恥ずかしい。アメリカの少年映画の傑作。亡きブラッド・レンフロさんの『依頼人』に続く第2作。彼の少年映画としてはこれが最高傑作だと思っています。

おりしも2020年は世界中で新型コロナウィルス感染。本作品の1995年はエイズウイルスの感染が脅威でした。初期はゲイの人たちの感染が目立ったため、患者はいわれなき中傷や差別のために二重にも三重にも苦しんでいた時代。

2人の少年の病気を超えた友情。今の新型コロナウィルス問題に直接どうのこうの関係する話ではありませんが、もしご覧にっていない方は是非ともご覧になって下さい。

ニューオリンズに向けてゴムボートで下り出した2人の少年。
(最初は余裕しゃくしゃく。でも2000kmもあるんだ...)

米国中部の町で暮す12歳の少年エリック(ブラッド・レンフロ)。隣家にエイズ患者の11歳の少年デクスター(ジョゼフ・マゼロ)母子が引っ越してきた。エリックの母はデクスターとの接触を厳禁。エリックは塀越しに話すうちに友だちになり、デクスターの家にまで入り込む。

2人は普通の少年のように遊ぶが、デクスターの病気を治すために薬草を探し回る。そんな時、ニューオリンズの医者がエイズ特効薬開発との新聞記事。2人は喜ぶが大人は相手にしてくれない。それなら2人でニューオリンズへ行こう!この川を下ればいい...2000km

男2人の船に頼みこんで乗せて貰ったはいいが、後から女性2人。船を止めて男女の営み。出発する気配なし。エリック達はお金を盗んで逃走。長時間バスでニューオリンズに向かうがデクスターの病状が悪化。エリックはデクスターの母に電話。2人の冒険は終わった。やがてデクスターは最後の時を迎える...

 デクスターのママに大感動!

もちろん少年2人が主役。でもエイズ少年の母親リンダ(アナベラ・シオラさん)には本当に感動の涙でした。母としての愛情に溢れながらも理性と知性を備えた女性。世界中の女性(男性も)がリンダさんのようだったら、地球はもっともっと高次元の平和に包まれます!きっと。

息子を無謀な冒険に連れ出したエリック。彼を憎むどころか感謝。11歳で生を閉じる息子。少年らしい遊びや冒険を何ひとつ知らない息子。その息子にかけがえの無い体験を与えてくれたエリック。
(ちょっと危険な香りもします。エリックとリンダ。息子の友人、友人の母親という関係を超えて男女の...)

一方エリックの母親はエイズに対する偏見のかたまり。でもこれが普通です。しかし彼女も最後はリンダの鬼気迫る姿に少し態度を変えます。誰にも良心はあるのです。

 宇宙の果て、臭いシューズ

本作のレビューで必ず言及されるエピソード。省略しようと思いましたがやっぱり書きます。デクスターは夜中にパニック。どうしたんだ?とエリック。目を覚ました時に真っ暗だとこの発作が起きるんだ。

宇宙の果ては180億光年。そこから更に1兆倍離れると光は全く無いんだ。僕はそんな果てに飛ばされたと思うと(病弱で知的な少年は時としてこんなに哲学的になるんですね)。それに対してエリックは自分のシューズを脱ぎ、これを抱いて寝れば安心さ。

真っ暗でもシューズのクサい臭いがすれば、宇宙の果てでも何でもなくて隣に僕がいるのさ(悪ガキの発想はお下品。でも哲学よりも役に立つ)。デクスターは判ったといってシューズを抱いて安眠。そしてラスト。デクスターが亡くなった時。エリックはまた棺にシューズを入れます。あの世が真っ暗でも...

ブラッド・レンフロ君は少年期末期ですが本当にちょいワルでチャーミング。相手役のジョゼフ・マゼロ君は声がキュート。映画「ジュラシック・パーク」では糞ガキ役でしたが、本作がはまり役。
もう本当に書きたい事は山ほどあります。キリがありません。是非ともご覧になって下さい。

エリックはエイズ少年デクスターに近づく...
(ちょっと変わってるけれど普通の子だ)
この年頃の少年がやる遊びは全てやった。
(万引きまで? これも定番ですが...犯罪ですよ!)


デクスターのママが作ったパフェは最高だ!
デクスターは残した。それを欲しがるエリック...カワイイ
3流?新聞でエイズの特効薬開発の記事を見る2人。
(理解あるデクスターのママでさえ信じてくれない)


それじゃ2人でニューオリンズまで行こう!
この川はニューオリンズまで続いているんだ。
2000kmは遠い。2人は船に乗せて貰う事に成功。
船では男女の営み。少年2人は邪魔者にされて...


真夜中。うなされているデクスターに自分のシャツを
(エリックの上半身裸体は結構まぶしい...)
エリックのクサいシューズを抱いて眠る。
(こんなのクサくて眠れないと思うのに...)


襲ってきた男に「僕はエイズだ」とナイフで血を!
(そもそも2人が男のお金を盗んだのが原因ですけど..)
最後。デクスターの葬儀。デクスターのママは...
エリックを抱きしめた。本当にありがとう...



※後記
同じように少年が不治の病で死ぬ日本映画に『Little DJ』(2007年)がありました。神木君演じる病弱少年が少女と雪の中を彷徨。少年の母親は怒りにまかせて少女の頬を平手打ち。これが普通の母親。リンダさんと比べてはいけないとは思えど...




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