The Year My Parents Went on Vacation (2006年)
製作年・国 |
2006・ブラジル |
少年映画評価 |
A |
お薦めポイント |
ブラジル、ユダヤ教、サッカー、少年 |
映画情報など |
2008年国内公開(1館)。海外版DVDあり。 写真はミシェル・ジョエルサス君。 |
1970年。ブラジルに住む少年マウロ(ミシェル・ジョエルサス)の両親が突然休暇?に行った。その間マウロはサンパウロの祖父のアパートに。ところが祖父は前日急死。両親とも連絡が取れない。取りあえず隣室の老人シュロモが面倒を見てくれた。祖父もシュロモもユダヤ教徒だった。ユダヤ流儀に馴染めないマウロは反発。
同じアパートの少女ハンナと親しくなった。ハンナはしたたかな少女だったがマウロには好意的。やがてW杯サッカーが開幕。ブラジル中がサッカーの渦に巻込れた。両親はW杯には帰ると言ったのに音信不通。一方で共産主義テロリストの摘発が続く。マウロの周りでも次々と。遂に老人シュロモも連行された。
W杯はペレ選手らの活躍でブラジルが優勝した日。母だけがフラフラになって帰ってきた。マウロは母と一緒に(亡命先に)旅立つ。一緒に過ごした老人とハンナとの思い出を胸に...
原題はO Ano em que Meus Pais Sairam de Ferias(ポルトガル語)。ここでは判り易いので英語表記を採用。本作のポイントは両親の休暇(Vacation)の意味。決して楽しいバカンスでは無さそうです。詳細は一切語られませんが、両親は非合法な政治活動のために追われていたのでしょう。
ブラジルは人種差別の一切ない理想的?な国とのイメージが昔ありました。本作でも登場人物の多くがユダヤ教徒。老人がトイレを出てくれず、仕方なくマウロが植木鉢に小便。老人はそれを見て怒るよりも、割礼していない事にショック。ユダヤ教徒の孫なのに...
そんな多種多様な国民をまとめるのがサッカー。ブラジル人のサッカーへの情熱をみると単なるスポーツでは無いのでしょう。日本が勝つのは至難(オリンピックで1回勝ったのは奇跡)。本作のマウロももちろんサッカー少年。中でもゴールキーパーに憧れと尊敬を持っているのが印象に残りました。
気になる登場人物は多いのですが、少女ハンナ。パッと見は「アンネの日記」のアンネ。でも性格はジャリンコちえ。母の洋裁店の着替え室の壁に穴があり、近所のガキどもからお金を取って覗かせます。マウロも覗きます。(客がオバハンばかりの時は、ガキどもが怒って金返せというシーンには笑いました。)
そして少年マウロ。まずは美少年。両親に捨てられたのではという不安を常に抱いている表情が素晴らしい。1000回を超えるオーディションで選んだそうです。Amazonで海外版DVDを購入できますので、是非ご鑑賞してみて下さい。
両親が休暇の間、マウロは祖父のアパートへ来た。
不在なので待つ。(実は祖父は急死していた)
両親は音信不通。しかたなくアパートで暮す事に。
祖父の隣室の老人が面倒をみてくれたが...
洋裁店の試着室の壁の穴から覗くマウロ。
少女ハンナがお金を取って覗かせてくれる...
W杯は始まったが両親は連絡して来ない。
(小学生時代の萩原利久君っぽい感じも)
※後記
1970年当時、ブラジルもご多分に洩れず軍事政権で政治活動への弾圧が厳しかったそうです。民政移行後は奇跡の経済発展を達成した事も。でも現在は貧富の差が激しくて治安が最悪とか。本作のような少年映画をもっと作って平和な国になって欲しいナンテ...