製作年・国 | 2011年・アメリカ |
少年映画評価 | A |
お薦めポイント | 映画作りに熱中するオタク少年たち |
映画情報など | 2011公開/DVD発売済 写真は、主演のジョエル・コートニー君 |
2011年6月25日、梅田ブルク7(大阪)にて鑑賞。
これぞ、正真正銘の少年映画本当に満喫できました。例によって、あんまり映画の内容を予習していませんでした。スティルバーグ氏が総指揮ということで、壮大なスペースファンタジー?だろうかと思っていましたが、意外にも小粒な映画でした。
その代り、少年俳優が出るわ出るわ。「スタンドバイミー」のような5人組。特に主役のジョエル・コートニー君、彼のための映画と言ってもいいでしょう。ストーリー的には昨年の「リトル・ランボーズ」をベースにETを出現させた、といった感じです。(これ以上はネタバレなので省略)
でも、この映画、日本では評価が低いかもしません。というよりも失望した人が多かったのではと思います。もっと壮大なファンタジー、あるいは手に汗にぎるアクションシーンを期待していた方には、物足りないこと間違いなし。ヒロイン役の少女がいるとはいえ、彼女が活躍する場面は多くはないし。お色気やラブシーンがあるでなし。あるのは、ちょっとマニアックな少年たちだけ。
主役のジョエル・コートニー君は美形です。撮影時15歳との事ですが、声変りもまだで、日本人にも親しみ易い感じの美少年。映画の中で本当にこれでもか、これでもかと彼の顔がアップに。(私はこれだけで十分満足なんですけど)
時代背景は1970年代の後半。米国の製造業がほぼ没落してしまった時代。映画の冒頭、工場の<ゼロ災 継続日数○○○日>の看板が書き換えられるシーンが、何か象徴のようです。ソニーのウォークマンに心を奪われる若者。米国にとって屈辱的とも思える時代に、なぜスピルバーグは郷愁を感じるような映画を作ったのでしょうか。
その答えが、この少年達だったのでしょうか。少年達が映画作りに熱中する姿。このひたむきさ。大人が堕落したって、軍や政府が陰謀を企んでも、そして宇宙人がやってこようとも、少年達の前向きな姿がある限り、米国は滅びることはない。そんなメッセージを受け取りました。(あくまで私の勝手な意見です。)
そして現在、米国でも曇り始めた少年達のひたむきさに対して、警鐘の意味を込めたのかもしれません。クラーク博士の「少年よ、大志を抱け」のごとく。(ちょっと考えすぎ?)
ストーリーなど映画自体に目新しいものはありません。大して感動する映画でもありません。でも少年達の姿に元気を貰える映画です。これだけのスタッフで、これだけの予算を使った映画なのに、主演は名もない少年俳優たち。これは現在の邦画では決してないと思います。(俳優事務所の論理が優先する日本の芸能界では)
恒例の蛇足。パンフレットについて。
欧米では映画パンフレットなるものはないそうです。従って今回購入したパンフレット600円は、日本のスタッフによって作られたもの。このパンフレットによると、キャストの序列は、父の保安官を演じた役者さん、次がヒロイン少女(人気少女俳優、ダコタ・ファニングさんの妹さん)、そして3番手がジョエル・コートニー君となっています。
日本ではどうしても、こういう扱いになってしまいます。でも映画本編をみれば判ること。主演はジョエル・コートニー君以外の何者でもありません。どうぞ皆様も、この楽しい少年映画をみて、元気を貰って下さい。