Limbo (2014年)

製作年・国 2014年・アルゼンチン
少年映画評価 B+
お薦めポイント 不気味な雰囲気の中で暮す美しい少年少女たち
映画情報など 国内未公開。海外盤BD/DVD入手可能
写真は影の主役(ラウロ・ヴェロン)。


南米が舞台のアドベンチャー映画などはありますが、南米で製作された映画はあまり国内には入ってきません。しかし結構少年映画もあるようです。本サイト客員のノースエンド先生から輸入盤BDをお借りしました。英語字幕入りで、何とか筋は理解できました。

中南米というと暴力と腐敗にまみれた印象。サンパウロとかブエノスアイレスの街角には射殺死体が溢れている...そんな三流ルポルタージュを見た事があるため、旅行したいとも、映画を見たいとも思いませんでした。でもこれは偏見。

Limboとはキリスト教の辺獄(異端の者たちが死後に行く世界)。結構ポピュラーな言葉で、Limboという同名の映画は数多くあり検索は注意が必要です。さて本作の主役は女性ですが、少年俳優が鮮烈な印象を与えています。目を覆いたくなるスプラッターな場面もあるのですが、意外に嫌な感じはしません。

私はドラキュラ伯爵の孫だ。これは祖父が書いた記録だ。
(吸血鬼役のラウロ・ヴェロン君。不気味だけれど、どこか色気がありますなあ...)

女性ジャーナリストのアリシアに1通のメールが届く。差出人はある児童施設所長のエルダという婦人。不思議な病気が蔓延して困惑しており、取材に来て欲しいと。アリシアは辺鄙な森の中の施設へ赴くが、場所が判らず途方にくれる。その時一人の少年が現れ、お待ちしていましたと施設へ案内。

少年はジークフリート(トト・ムニョス)と名乗るがどこかで見た記憶がある。少女時代のボーイフレンドだった。外見は12歳のまま。この施設では年を取らない。他の少年少女たちもMissing Childとして報道写真で見た記憶が...やがて所長のエルダから信じられない事実を告げられた。ここはLimboと呼ばれており...

子供たちは選ばれてここへ来た。既に全員がヴァンパイア(吸血鬼)。新しい世界を築くために。この施設の主が、伯爵と呼ばれる少年(ラウロ・ヴェロン)。ドラキュラ伯爵の子孫だという。一方、吸血鬼狩りの一団が襲撃してきたが伯爵は撃退。しかしエルダは死亡。アリシアが後継者に。元々そのためにアリシアを呼んだのだった。

 ドラキュラの子孫である少年の不気味さ

英語字幕はセリフをかなり忠実に文字化。そのため文章が多くて読解が追いつきません。いい加減な字幕なら文章が少ないのに。また原語であるスペイン語みたいな英語もあり、細部までは理解出来ていないかもしれません。

なぜ主人公のアリシアが呼ばれたのか。彼女は血友病で子供時代に虐待の経験があったようです。(血友病と吸血鬼の関係は判りませんが。)そして施設にいる子供たちは少年も少女も美形ばかり。容姿の劣る子供は新しい世界の住人として不適格なのでしょうか。

ドラキュラ伯爵の子孫を演じたラウロ・ヴェロン君。爬虫類っぽい不気味な顔ですが、それが強烈な印象に。メイキング映像では普通に笑顔の少年。でも監督さんから目をかけられている様子がよく伝わりました。

しかしドラキュラの逃亡先が南米とは。源義経が北海道からモンゴルへ渡ってジンギスカンになったという伝説と同じでしょうか。いやいやナチス残党は大挙して南米へ逃れたのは事実(ヒトラー伝説まで)。そういえばもう一人の少年ジークフリートって名前もドイツっぽいし...

道に迷ったアリシアの前に1人の少年が現れた。
お待ちしていました。もうずっと前から...
20年前、少年はアリシアの父に殺されそうになり...
この施設にやってきた。そしてアリシアを待ち続けた。


施設の子供たち。白い服を着て活動するのは夜だけ
全員日光アレルギーだというが、アリシアは疑問を。
幼い少年がタバコをプカプカと...
年齢を聞くと40歳!(子供たちは男女とも全員美形)


逃げ出そうとしたアリシアの前に立ちはだかる伯爵。
(少年伯爵は変幻自在に超能力を操る...)
昼間。吸血鬼狩り連中に襲われ怯えるジークフリート。
日食で太陽を隠して反撃。吸血鬼狩り連中を全員惨殺。
(生首でサッカー、腸で縄跳びなどグロシーンも...)


メイキング映像より。メイクを受けるラウロ君
(いたって普通の少年。お母さんに世話を焼かれる...)
本作の翌2015年に製作された「Ellos Volvieron」
同じイヴァン・ノエル監督。またラウロ君は主役クラスで。
(神隠しから全裸で生還した少年役。見たいなあ...)






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