ルイの9番目の人生 (2016年)
製作年・国 |
2016年・カナダ/イギリス |
少年映画評価 |
B+ |
お薦めポイント |
最後のドンデン返し。クソガキだったルイの秘密... |
映画情報など |
2018年日本公開。DVD発売中。 写真はルイ役のエイダン・ロングワース君。 |
日本で公開される海外の少年映画もぐっと減りました。制作は結構されているけれど配給されないだけ。それだけ日本では少年映画のマーケットが少ないのでしょう。本作はそんな状況の目をかいくぐって配給された貴重な作品です。
とはいえ上映される劇場も少なく、殆ど話題にもならないまま終了。私もレンタルDVDで鑑賞。本当はブルーレイの高画質で見たかったのですが、そんなものなし。ハイビジョンどころか今や4Kや8K放送も始まった時代にカスみたいなDVD画質とは...(密かにWOWOWでの放送を期待)
それはさておいて目を引いたのがルイ君のルックス。名前もあって完全にフランス映画だとばかり思っていました。実際に鑑賞すると、これが一筋縄ではいかない少し難解な作品。ネタバレすると価値半減なのでストーリーはごく簡単に。
いよいよ真相に迫る。崖を背に立つルイに迫ってくるのは誰か...
9歳の少年ルイ(エイダン・ロングワース)生まれてから毎年、死に直面してきた。ベッドで窒息、コンセントで感電、食中毒など...これまで8回は何とか生還。なぜかルイは自分の人生は9回まで。即ち9歳で終わると決めていた。そして両親とピクニックに行き、ルイは崖から海に転落。父親は行方不明となった。
一旦は病院で死亡が確認されたルイ。しかしそうは問屋が卸さない。奇跡的に蘇生するも昏睡状態のまま。ルイの主治医は小児昏睡(そんなのあるんですねえ)専門のパトリックという医師。一方、警察は行方不明の父親がルイを突き落としたと考えている。残された母親にも危害を考慮して病院で保護。
映画は2つのラインで展開します。1つは昏睡状態のルイが自分の(短い)過去を回想するライン。もう1つは医師パトリックとルイの母親、そして警察がルイの事故原因をめぐって繰り広げるライン。最初は別々のラインだったものが交わって...秘密が明らかにされる。
最初はクソガキでなかなか感情移入できなったルイ
片目を隠すような長い前髪でキザっぽいルイはなかなかのイケメン(日本人がやるとゲゲゲの鬼太郎ヘア)。でもそんな外見に比べて、大人に対する態度はクソ生意気。思わず関西弁で「このガキしばいたろか」(私はそんなお下品な言葉使いませんけれど)
そんなルイが唯一愛する大人が母親。母親もルイを溺愛。しかし意外な過去が明らかになってきます。行方不明の父親は実の父ではなかった事。母親がチンピラにレイプされて生まれた私生児がルイ。それを全て受け入れて結婚した父親でしたが、両親は仲が悪かった。
母親に近づいてくる男はカスばかり。最初のチンピラ。再婚した父親。そしてルイの主治医のパトリックまで母親に接近。それに対して昏睡状態のルイが不思議な力を見せ始める。事件前にルイを診ていた精神科医のオヤジ。ルイの意識の中に現れる海藻のバケモノ。これが事件の鍵ですよ...
男は全てクソ野郎。母親は聖マリア様のような女性。どうせそんな構図なのかな...と思って(男である)私は引きながら見ていたのですが、最後は逆転。ちょっと痛快。いやいやこれ以上は...
映画の冒頭。ルイが崖から海へ落下していく
(やや不自然なCGですけれど)
一旦は死亡確認。しかし奇跡的に蘇生した。
昏睡状態。これがルイの人生で一番快適な時間とは...
事故前のルイ。快活な少年だった...
(大声で笑う。でもなんとなく...)
しかし悪魔的な目つきも。これが本性か...
(通っている精神科医のオヤジに散々な悪態をつく)
昏睡中に1度だけ突然起き上がったルイ。
(主治医と母親がイチャつき始めた時に...)
昏睡中のルイに現れる海藻のバケモノに連れられて
海へ潜り、海底の洞窟で見たバケモノの正体とは...
事故の前。父親がルイのベッドへやって来た
パパはしばらく遠くへ行く。それがママのためなんだ。
母とルイに暴力を振う血の繋がらない父親?
そうじゃないんだ!パパを一番愛していたんだ...
※後記
ネタバレです。未見の方は読まないで下さい。
美人の母親に寄ってくる男ども。ルイは彼らから母親を守ろうとしていたのでしょうか。
実は、天性の欲情を抑えらない母親によって男たちが傷つかないよう、ルイは警告していたのでした。
(父親もルイの母親の犠牲者。海に落とされた父親は海藻のバケモノになってルイを守ろうと...)