製作年・国 |
2017年・アメリカ |
少年映画評価 |
B+ |
お薦めポイント |
ホラーとしては普通だけれど少年達の友情が爽やか |
映画情報など |
2017年製作 BD・DVD発売中 (写真は主役のガジェイデン・リーベラー君) |
スティーブン・キングの小説の映画化。原作は読んだ事はありませんが、代表的なホラー作品の一つで1990年にも映画化されています。2017年の本作は少年時代のエピソードが中心との事で期待が膨らんでいましたが、なかなか劇場で見れませんでした。
国内DVD発売(2018.2.21)の数日前に、尼崎市の塚口サンサン劇場という少しレトロチックな映画館で鑑賞。期待に違わずに楽しめました。特に変わった脚本ではないのですが、同じ2017年の日本のホラー映画「こどもつかい」のレベルの低さを改めて認識しました。
ただ同じキング原作の映画「スタンド・バイ・ミー」と比べると少年映画としては少し残念な部分も。現代の男女平等から仕方ないのですが、メンバーの中に少女がいるのがねえ..結局全部彼女に持ってかれた感じがします。あっそうそうピエロのペニーワイズも夢に出てきそうなほど印象に残ります。
怪異に襲われ放心状態の少年少女たち。
(左からリッチー、紅一点のべバリー、ベン、スタンリー、主役のビル、マイク)
1986年、アメリカの田舎町デリー。少年ビル(ジェイデン・リーベラー)が作った紙の船で遊んでいた弟のジョージーが雨の排水路でピエロの怪物(ペニーワイズ)に襲われて行方不明になった。その約半年後が本作の舞台。弟を失ったショックからかビリーは吃るようになっていた。
ビリーは同じ学校のイケてない少年のリッチー、エディ、スタンリーの4人が仲間だった。そこへ転校生の太っちょのベン、父親から性的虐待を受ける少女べバリー、黒人少年のマイクが加わってイケてないグループとなり、不良連中と対抗しながら、デリーの町で異常な数で発生している子どもの行方不明事件の謎を追いだした。
しかしビリーたちは次々と怪異に襲われる。病弱なエディは不潔な怪物、ユダヤ教徒のスタンリーは肖像画の不気味な女性など、その子供が一番恐れているものが現れる。調べるうちに27年周期で怪異が起こっており、ある不気味な家が元凶と判った。ビリーは弟がその家に囚われていると考え、仲間と一緒に入って行くが...
子どもが主役なのにR15指定..
R15指定が示すように決してお子様向け映画ではありません。映画冒頭で幼い少年ジョージーがピエロに襲われますが、腕を噛み切られて血まみれの切断面。これを子どもが見たらショックでしょう。私もこのシーンでこれは大人向け映画なのだと認識。(あと不良グループの暴力シーンもきつい..)
しかし登場する俳優は少年少女が中心。彼らは大人の鑑賞に耐える演技で画面に引き込んでくれます。もちろん映画の作り手がそのように作っている訳です。そして日本との大きな違いが本作品が米国では大ヒットしているということ。少年少女モノに対して観衆が支持する米国は(変な大統領が出現しようと)まだまだこれからも成長するのではと思います。
一方われらの日本。少年ドラマは皆目姿を消し、子ども番組さえ若いイケメンやオネエサンが席巻。例えばNHKの天てれ。もう子どもは脇役で変な若手タレントしか出ないので見ません。また映画や大河ドラマの子ども時代の場面は「ツマラン早く子ども時代終われ」などのツイートが飛び交います。
作る方が少年少女俳優をしっかり使えないのか、見る方が受け入れないのか。いずれにせよ日本の老化はこれからますます加速するように思います。(とかなんとか...ちょっと書き過ぎてしまいました。少年俳優はさておき少女俳優はまだまだ受け入れられる余地はありそうですけれど)
排水溝に流れ込んだ船。それを探す弟のジョージー
ピエロが顔を出し、ジョージーの腕を食いちぎり..
弟が行方不明になって約半年。ビルたちは探し続ける
ジョージーは絶対に死んではいないと..
ちょっと出来過ぎのキャラクター
さて映画の話。少年グループのメンバーのキャラの構成(品揃え)が出来過ぎ。主人公のビルは普通の子。おしゃべりメガネ少年リッチー、真面目ユダヤ教徒のスタンレー、臆病少年エディ、太っちょだけどインテリ少年ベン。ほぼ必要なキャラを揃えて重複がありません。そこへ超美少女べバリー、下層階級として軽蔑されている黒人少年のマイク。もうアメリカ社会そのもの。
彼らのキャラを一人一人手を抜かず、しっかり演出しているのが本作品のいいところ。日本だと主人公やヒロイン以外は手抜きになってしまいがち。そして彼らの友情ですが、一筋縄ではいきません。なんせ自己主張の強い欧米ですので。しかし結束する時は日本人以上に力を発揮します。
1980年代の少年たちの衣装も目を楽しませてくれます。スタンド・バイ・ミーと同じく全員白パンツ1枚になってキャッキャと戯れる場面も。なんとお年頃の少女までパンティー1枚(ブラもあったか)で少年たちと一緒に戯れます。これは男子の身体の一部が変形しそうで危険なのですが...
少年たちに怪異が襲いかかる。スライドの中から..
(左からスタンリー、マイク、リッチー)
ついにピエロのペニーワイズの隠れ家を..
(最初に見つけたのは、病気で臆病なエディだった)
本作品で1番印象に残るのは少女べバリー
少年キャラを一人一人丁寧に演出しているのは確かですが、でも最後まで印象に残るのは紅一点の少女べバリーを演じたソフィア・リリスさん。ボーイッシュと表現している解説もありますが、いやもう完全に超美少女です。12,3歳なら少女の方が2,3年は年長に見える時期。
映画でも彼女が大活躍。映画の後半グループは喧嘩してバラバラ。ビルは孤立するのですが、べバリーが拉致されたと聞くや、少年たちはすぐに結束して救出に向かいます。これがべバリーではなく他の少年だったらどうでしょう。オレは関係ない、なんて冷たいヤツも出てきそうで...(あくまで私の感想)
そして主人公のビル。グループの少年たちとの友情よりもべバリーとのイチャイチャを優先しそうな顔をしていて今一つ(これも私の勝手な感想)。あと言いたくないのですが、ヒロインのべバリーに比べると演じたジェイデン・リーベラー君が地味すぎて。もう少し少年らしい輝きが欲しかったところ。なお弟のジョージーは可愛いのですが、ちょっと残酷な役でした。
最後に「IT第1章」とのタイトルが出ましたので、続編がありそうです。皆さまも是非レンタル等で鑑賞してみて下さい。タイトルは原題のように「IT」でいいのに。余計な日本語をつけないくても。
みんなで円陣を組んで。恐れてはいけないんだ。
(中央のエディのズボンが短くていいですなあ..)
ピエロの家で。少年たちに襲いかかるピエロの怪物
(さあどうなるのでしょうか..)