| 製作年・国 | 2018・ベルギー |
| 少年映画評価 | Ｂ |
| お薦めポイント | 母が家出。残された父と子供たちの気持ちのすれ違い |
| 映画情報など | 2019年国内公開。DVD/BD発売中。 写真はバジル･グルンベルガー君。 |
9歳の少年エリオット(バジル･グルンベルガー)は両親と妹の4人家族。父は大手通販企業の倉庫の社員。労働組合のリーダーで多忙を極めている。ある日、母がふといなくなった。父は慣れない家事や子供らへの対応で大慌て。母がいなくなった原因が判らない。両親の仲は良かったのに。
母から葉書が届いた。消印は母の故郷。あなた達を愛してるわ。でもまだ帰れないの。父もエリオットも苛立ち始めた。妹はショックで話をしなくなる。そんな時、エリオットと妹が姿を消した。2人は母を探しに出かけたのだった。結局母には会えず警察に保護された。
この事件を機に、母のいない3人の家族は次第に落ち着いてきた。職場で人事異動があり、父は転勤と給与の高い地位を打診される。迷った末、3人は引越しする事になった。ドアには母へのメッセージを残して…
ダスティン･ホフマンが演じた映画『クレイマー･クレイマー』(1979年)のベルギー版でしょうか。妻が急にいなくなり、夫が子育てに振り回される...日本でもよくある定番のストーリーです。
父は超まじめな人間。職場では面倒見がよくて頼られている。労働組合として管理職と対立もするが、仕事も優秀なので首を切られる事はない。そんな父だから当然家庭は二の次だった。それでも妻と子供を深く愛しているし、自分の家庭は万全だと思い込んでいた。
妻がいなくなった時、最初は事件だと思って警察へ。しかし妻は身の回りの物を全部持って家を出ていた。父は優しい男を演じていたが、時折カンシャク持ちの片鱗が現れる。父の父がそうだったのだ。妹から、あなた父さんに似てきたわ！と指摘されて怒る。俺は決してあんな男じゃない。
残された兄妹。兄のエリオットは上半身に火傷を負い病院に通っていた。なぜ火傷を負ったのかは描かれない（ひょっとして家庭内での事件だったのだろうか）。毎晩、母はエリオットに薬を塗ってくれいた。その時間がエリオットにとって幸福なひとときだったのは確か。
母がいなくなって薬は自分で塗るしかない。妹は口を聞けなくなるほどショックを受けた。でも彼女は落ち着いてくると、ある夜、兄の身体に薬を塗り始めた。まるで母のように。（妹はショートカットで、ぱっと見は男の子。でもよく見ると本当に可愛い女の子です。）
家出した母から葉書が届いた。妹と一緒に読む。
おばあちゃんが来てくれた！
妹が母の真似をして、エリオットに薬を塗り始めた。
父の転勤で家を出ることになった。※後記
ベルギーといえば、チョコレート、ワッフル、ビール、そしてフランダースの犬。なにかファンタスティックなイメージですが、数年前にはベルギスタンと呼ばれるほどのイスラム化が話題になりました。ヨーロッパで発生したイスラム国のテロ犯人のアジトはベルギーだったとか...移民やナショナリズムの問題は難しくて私は何も書けません。ただベルギーの文化や夢が壊れない事を祈るのみ。