製作年・国 |
1990・フランス |
少年映画評価 |
B (少年と少女が主役) |
お薦めポイント |
カプセルで無菌培養で育てられた少年と少女の夢は... |
映画情報など |
1991年国内公開。VHSビデオ絶版 (写真は左がトム、右がローラ) |
スキンヘッドで全裸の少年少女が密閉されたビニール製の容器の中で暮している。一見すると少年少女はまるで宇宙人。こんな衝撃的な映画が公開された事はかすかに記憶しています。でもずっと忘れていました。日本ではVHSビデオが発売されましたが、今では中古も皆無となっています。
ビデオは経年劣化もあり、少年と少女が全く区別できなかったのですが、ネットで流れていたものを視聴して、ようやくどちらが少年トムで、どちらが少女ローラなのか判りました。今では映像は手元にありませんが、いくつかの静止画だけを保存しています。
カプセルを抜け出して、深夜の病院を散歩するトムとローラ。
(ローラの方が脚が長くてスタイルがいい)
トム(ニール・スタッブス)とローラ(メロディー・コリン)は、染色体異常のため空気に触れる事が出来ず、生まれてからずっとカプセルの中にいた。2人の夢はビデオで見たアラスカに行くこと。ある日2人はカプセルから抜け出す方法を知り、深夜に病院の中を徘徊する。そこで別の病気で入院していた少年ロバートと会った。
3人は病院を脱走。しかしロバートは窓から落ちて死亡。2人は理解のある看護婦エレーヌの家へ。彼女の息子と娘がいたが、なぜか全裸。トムの病状が悪化して病院へ搬送。ローラは一人で町をさまよい、病院へ戻った。トムはいない。地下の冷凍室へ行くとトムがいた。2人で冷凍室のドアを開けるとそこはアラスカの大地...
ビデオの日本語字幕は最低限。しかも手元にはありませんので、ストーリーはおぼろげ。ただ、トムとローラは宇宙人でもなく、悪の組織が改造人間を養成している訳でもなく、純粋な難病患者です。ただ病院にしては施設が豪華で怪しげに見えます。トムには母親がいますが、ローラの身元は不明。
トムとローラの絆は強く、2人だけに通じる手話や合言葉があります。まだ男女の目覚めは無いのでプラトニック。厳重に密閉されたカプセルと思っていたら、これがザル。簡単に裾をめくって外へ出れるとは。また看護師のエレーヌもそれを見て見ぬふり。自由の無い2人を不憫に思っていたのでしょう。
もう一人の少年ロバートは12歳くらいでお金持ちの息子。ベッドの周りは高価な玩具や備品だらけ。でも人恋しいのかトムとローラが去ろうとすると、必死で呼び止めます。
ローラがロバートに(たぶん挨拶の)キスをします。それを見てトムもロバートに同じようにキスをしますが、ロバートは怒って拒否。キスは男女の間でするもんだ! 拒否されたトムは訳が判らない様子ですが、悲しい現実を知った顔が可哀想で。
脱走してからは現実なのかファンタジーなのか。看護師エレーヌの息子と娘も美少年と美少女。病気でもないのに、なぜ全裸でいるのか。やがてトムだけが病院へ戻されます。これもおかしい。ローラだって重篤のはず。まるで貧しいチベットの少年僧のようなローラが、駅や雑踏を歩いても誰も彼女に気づかず。
ひょっとしたら、病院を脱走した時点でトムもローラも死んでいたのかも。二人の霊魂だけが、これまで知る事のなかったフランスの町を散歩していたのでしょうか。そして病院の地下の冷凍庫。ここは極寒だけど空気の清浄なアラスカ。2人が行きたかった場所。今もそこで楽しく暮している事を願うばかり。
生まれてからずっとカプセルの中で暮すトム。
(ペンギンの縫いぐるみ。もちろん消毒済み)
ロバートのベッドの側に来たローラとトム
ロバート「きみたち火星人なの?」
トムとローラはキスをしあった。
(これまではお互い触れる事も出来なかった)
病院を抜け出したローラとトム
(服を着ると顔の違い、男女差が判りやすい)
看護師エレーヌの息子と娘。
(美少年と美少女。なぜかいつも全裸)
息子の方とトムは打ち解けた。
トムが髪を刈ったが、虎ガリになってしまった...
ラストシーン。トムとローラはあこがれのアラスカに。これはファンタジー。
※後記
髪の毛も衣服も無ければ、思春期前の少年少女は判別が難しいくらい。ところが服を着て帽子を被っただけで、顔の違いが際立ちます。人類が動物から進化してきたのは、この辺りも影響しているのかもしれません。
たた(私のひがみ根性かもしれませんが)本作の監督さんは少年トムよりも、少女ローラに思い入れが強い感じを受けます。ですので、本作は少女映画とカテゴライズした方がいいのかも。