原作は児童文学「ぼくとテスの秘密の七日間」ですが、本作のタイトル『恐竜が教えてくれたこと』はなかなか意気なものです。84分という比較的コンパクトな作品ですが、久しぶりに良質な少年映画を堪能できました。レンタルで借りて返すのが残念でDVD買おうかと思っていたら、WOWOWで放送があり録画を保存版として残しています。
11歳のサム(ソンニ・ファンウッテレン)は家族でオランダの島へバカンスにやってきた。その初日に兄が骨折。サムは病院の隣に住む少女テス(ヨセフィーン・アレンセン)と友だちになった。テスは貸家(コンドミニアム)の管理をしており、今日は客の男女が到着する日。準備をサムも手伝う事になった。しかしテスの様子が少しおかしい。
実はお客の男はテスの父。リゾート地の宿泊招待券が当たったといってテスが呼び寄せたのだ。しかしテスは告白できない。そして1週間。男女が帰る日。サムは男性に打ち明けた。あなたはテスの父だと。最初は信じない男性だったが、テスがこれまで調べてきた事を聞いて理解した。そして...
上のストーリーは少女テスの話が中心になりました。しかし本作は少年サムが完全に主役です。そしてこのサムという内面的で、哲学的で、しかも人を思いやる心のある少年の大ファンになってしまいました。
もう外国少年映画はあまり見ないようにしようか、なんて思ったことも。それを本作が払拭してくれました。ちょっと大袈裟ですけれど。サム少年の関心は死。家族で最年少だから、両親も兄も先に死ぬ。その孤独に耐えられるだろか。そこで孤独に耐える訓練を開始します。
映画終盤に、サムは一人で干潟を歩いていて足が抜けなくなり、一瞬死の影がちらつきます。それを助けてくれたのは浜辺の小屋に住む老人。妻を亡くして一人暮らし。サムは尋ねます。死や孤独について。老人は答えます。俺には思い出が一杯あり過ぎて孤独になる暇がない。