For My Brother(2014年)

製作年・国 2014・デンマーク
少年映画評価 B+
お薦めポイント 虐待される中で、兄弟の深い絆と愛情に涙。
映画情報など 国内未公開。海外版DVDあり。
(写真はクリストファー・ジェンセン君)


とにかく、やりきれない作品です。実の父親による息子たちへの虐待。途中で見るのを止めようと何回も思いました。しかし虐待される兄弟の絆の深さ、そしてラストシーンの衝撃的な絶望の叫び。これが頭に残って離れませんでした。とてもお薦めは出来ません。でも...

父の暴力で縛り付けられた兄弟。それだけに兄弟の絆は深かった。

10歳のアスケ(フレデリク・インゲマン・ブラント)。父は知人と違法ポルノを製作している。アスケも撮影対象だ。撮影だけでなく相手をさせられる事も。さすがに母が怒ったが、交通事故で亡くなった。5年後。15歳になったアスケ(エリアス・ムンク)は依然として父の支配下でポルノを撮られていた。

10歳の弟バスティアン(クリストファー・ジェンセン)は内向的で友人もいない。気が許せるのは兄アスケだけ。その夜アスケは不在だった。父はアスケの代りに弟を使った。それを知ったアスケは弟と2人で家を飛び出した。アスケの親友が別荘を貸してくれた。しかし父はアスケが忘れた携帯電話から居所を知り、銃を持って追いかける...


まあ日本風に言えば鬼畜としか言えない父親。違法ポルノをネット販売。息子は女性とも男性ともさせられたり、野外でレイプされたり。15歳くらいになれば反抗期で逃げ出してもいいものを、父親にずっと支配されてきたせいでしょうか、言われるがまま。

しかし弟バスティアンだけはそんな目に合わせたくない。自分が逃げれば父の毒牙は弟に向かうはず。夜は一緒のベッドで寝ます。兄は弟が眠るまで本を読んで聞かせます。弟も兄の語る物語が一番の楽しみ。まるで父子、いや母子のような関係。こんな兄弟がいたのですね。

しかし恐れていた事態が。その夜、兄は初めてのパーティに誘われました。自分が楽しんでいる時、弟がポルノとは...何も考えず逃げ出した兄弟。弟はクマのぬいぐるみだけ。兄は手ぶら。しかし親友がいました。警察へ行くべきだ。君がだめなら僕と家族で警察に通報する。しばらくは親戚の別荘で隠れていてくれ。何とも素晴らしい親友。

親友はアスケに状況をメール。ところがアスケは携帯電話を家に置いたまま。そのメールは父親が見てしまった。銃を持って別荘に現れた父。兄弟を見つけて発砲。1発は幼いバスティアンの背中を貫通。アスケは絶叫。バスティアン、目を開けてくれ。ずっと一緒にいてくれ。


10歳のアスケ。これから左の男の相手をさせられる。
(この時は母に助けれられたが、直後に母は事故死)
15歳になったアスケ。相変わらず父の支配下。
(男女の相手をさせられたり、レイプされたり)


弟のバスティアンも10歳になった。
幼い頃に母を亡くし、内向的な少年になった。
父からは毎日暴力。友人もいないバスティアン。
こんな屈託の無い笑顔は、兄アスケにだけ見せる。


とうとうバスティアンも父の毒牙にかかった。
家から逃げ出した。手にはクマの縫いぐるみが一つ。
(母から貰った命より大切なものか...)
父に撃たれたバスティアン。もう目を開ける事はない
兄アスケは絶叫した。(この声が頭に残って...)



※後記
親友とその両親がアスケ兄弟の父親の悪行を警察に通報。父親は捕まる前に逃走して別荘へ。弟は射殺しますが、兄は打ち損じます。そこで銃口を自分に向けて自殺。悲劇ですが兄は生き残りました。心配なのが親友。アスケの父親に殺されてなければいいのですが。今回のレビューは感想ではなく、ストーリーの補填に終始してしまいました。





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