有名な映画監督サルヴァトーレ。母からアルフレードの訃報が届いた。監督は30年ぶりに故郷のシチリア島に帰った。トト(サルヴァトーレ・カシオ)と呼ばれていた子供時代を回想する。父は戦争から帰らず、母と妹の3人暮し。トトは教会の小僧をしながら映画館に入り浸っていた。
最初は疎ましく思っていた映写技師のアルフレード(フィリップ・ノワレ)だったが、次第にトトを息子のように思い始める。フィルムが失火して火事になりアルフレードは失明。子供ながらトトが映写技師に。やがて青年になったトトは恋をした。しかし彼女は島を離れて大学へ。トトも兵役に。帰って来た時、アルフレードが言った。
お前はこの島で一生を終える人間ではない。島を出ろ。そして帰ってくるな。トトはアルフレードと涙の別れ。そしてローマで映画監督として大成功。30年ぶりに帰った故郷に映画館はない。葬儀の席でアルフレードの形見の品を貰った。1巻のフィルムだった。
戦後の貧しい時代。映画だけが娯楽だった。老若男女が映画館に押しかけて泣き、笑い、怒り、そして帰っていく。映写技師に休日はない。アルフレードは映写に人生を捧げ、結婚も子供も作ることが出来なかった。自分の仕事に誇りを持ちながらも、トトにはこんな人生を送って欲しくない。もっと素晴らしい可能性があるはず。
トト少年はアルフレードの気持ちなど判らず映画にのめり込む。映写機やフィルムが大好きだった。神父は上映前のフィルムを検閲し、男女のキスシーンなどをカットさせた。そのカットしたフィルムが欲しくてたまらないトト。まあ子供ながらにマセていたのは仕方ありません。
でも少年時代のトトは女の子など目もくれず映画一筋。これが少年らしくていいんです。欧米映画や日本映画では、少年といえば女の子を追いかけるだけの作品が多い中で、色恋以外の何かに熱中する少年は好感が持てます。もちろん何かに熱中する中で、好きな女の子を密かに想うのも自然です。
青年時代になったとたん女性に恋をします。映画は二の次に。それでもトトはアルフレードを心から信頼し、どんなことでも相談します。結果的に初恋の女性との恋は成就しませんでした。155分版や170分版では、この女性との恋の顛末が主題になっているそうです。