福助 (2010年)

初回放送・製作 2010年・東海テレビ 新春ドラマスペシャル
作品評価 B+
お薦めポイント 福助の伝説を少年俳優が熱演
関連情報など 映像関連の発売なし。
(写真は福助役の深澤嵐君)


2010年のお正月、新春ドラマスペシャルとして東海テレビで制作された、かなり意欲的なドラマです。フジテレビ系列で全国放送されたものの、ローカル局制作ということで、再放送もされず、DVDやBDも販売されず、何とも残念な扱いを受けている作品。最近のフジテレビのくだらない作品より、よっぽどいいと思うのですが。

髪は白く、手もシワだらけ。「心配しなくていいよ。僕はまだ少し力が残っている。」

両親が離婚し、幼い少年、龍彦(澁谷武尊)と、姉のるみ子(大後寿々花)の二人は、祖父(笹野高史)の家に預けられることになった。祖父は妻と娘(この姉弟の母)を捨てた過去があり、二人とは初対面だった。

龍彦は「福助」と書かれた箱を見つけ、開けてしまう。そこから小さな赤ん坊が出てきて、あっという間に福助へと成長していった。福助は、箱をあけてくれた人物の「福の神」となる存在だった。(一種の霊のようなものですが、取り憑いて悪さをするのではなく、望みを叶えてくれる幸運の霊)

龍彦は、福助を単に優しいお兄ちゃんだと思っていた。でも龍彦にしか見えない。お腹が空いたと言えば、家の前に果物や野菜が出現。退屈だといったら、ウサギや蝶が飛び回る。また温泉を出してもくれた。やがて村人たちの間で、福助が現れたのではないかと噂が広がる。

福助は、ご主人様の願いを叶えるたびに年をとり、やがて消えてしまうそうだ。それを聞いた龍彦は、これ以上わがままをいうと、福助が消えてしまうと思い、願いを封印することにした。しかし昔、福助のお世話になったという女性が現れて、最後の願いを聞いてほしいといったり、祖父が崖から落ちて重体になったり、母のピンチもあり、福助にお願いをせざるを得なくなる。それらを全て受け入れた福助は、やがて消えていく。

深澤嵐君と澁谷武尊君
 福助って、こんなにいいやつだったのか

実は「福助」と聞いて、不気味で怖いイメージを持っていました。足袋(たび)の有名なブランドとは知っていますが、足袋なんか履くことはありませんし。

昔読んだ江戸川乱歩の小説には、サーカスや見世物小屋に、一寸法師とか福助人形そっくりの不気味な怪人が出てきます。

なので、なにか怖い呪いを持っているような存在かと思っていたのですが、このドラマでは全く逆の存在。これなら私も福助に来て欲しい。まるで、ハクション大魔王みたいですものね。

いやいやハクション大魔王はドジばかりで、結局願いは叶えてくれませんし、第一、福助のような少年ではなくて、オッサン。
でもハクション大魔王は私の大好きなアニメでした。知らない方には、申し訳ありません。

 少年俳優の大活躍

まず福助を演じたのは、実力派少年俳優の深澤嵐君。もう思春期に入ってそうなシャープな顔つきになっていますが、まだまだ声は魅力的な少年ボイスでした。役柄上、セリフは少ないのですが、その存在感は抜群です。もっと出番が多くてもいいのに。

実質的な主役は澁谷武尊君。彼もキャリア十分の子役。少し昔の日本の童子の雰囲気を持っていて、セリフも達者。是枝監督のドラマ「後の日」で、絣の着物を着た子どもの幽霊役を演じていましたが、この雰囲気がよく似合います。残念ながら子役は辞めたとのこと。

また最近活躍している加部亜門君も少しですが出演しています。ただ、ネットでドラマ「福助」を検索すると、お姉さん役を演じた大後寿々花さんの記事しかヒットしません。世間的には彼女が主役なのでしょう。祖父役の笹野高史さんもいい味を出していました。録画していない方は、もう見る機会が少ないかもしれませんが、是非ともご覧になって下さい。

箱から出た福助は赤ん坊(CG)、すぐ成長して子供に
(演じている子役さんは不明。でも可愛いです)
やがて少年の姿に。でも願いをかなえすぎて
消える直前。(脚の線が女の子みたいにきれい)





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