さよならゴースト (2012年)
初回放送・製作 |
2012年・BS日テレ |
作品評価 |
B- |
お薦めポイント |
受験、成長と不安定な中学生の友情とは |
関連情報など |
映像関連の発売なし。 (写真は萩原利久君) |
2012年3月18日、BS日テレで放送されたドラマです。第3回科学ドラマ大賞シナリオ部門大賞を受賞した作品をドラマ化したものですが、放送時間はわずか30分。そのため消化不良の部分もあり、ドラマの出来としては物足りないのが本音です。
ただ、近年のドラマで、主人公が中学生の少年二人、なおかつ少年同志の友情にスポットを当てたものは殆どなく、その意味では希少価値のある作品です。主役の一人を演じた萩原利久君が、ちょうど少年俳優としては旬の時期なのもプラスポイント。
主役の一人、萩原利久君。まだまだ可愛いです。(アヒル口)
中学生の祐斗(澤田怜央)と悟(萩原利久)は親友だった。科学実験が好きな悟はペットボトルでロケットを作ったりして、二人で遊んでいたが、祐斗の言ったほんの些細な言葉からケンカになり、悟は口を聞かなくなってしまった。祐斗は仲直りしたかったが、きっかけが掴めない。
そんな時、祐斗は文化祭で「お化け屋敷をやろう」とクラスに提案。それをきっかけに悟とも仲直りしたかったが、悟の態度は冷たい。実は文化祭当日、悟は転校することが決まっていた。それを知った祐斗は悟と話そうとするが、お互いの意地もあり、ギクシャクしたまま。
一方、学校からの制約でお化け屋敷の企画が行き詰まり、祐斗はクラスから責められる。それを見た悟は、新しいアイデア(得意の科学実験ネタで)を書いた紙をそっと祐斗の机の中に。悟の好意を無駄にせず、新しい企画でお化け屋敷は大成功。しかし悟はそれを見ずに去ろうとする。祐斗は駆け出した。
科学ドラマ大賞とは
本作品は、科学ドラマ大賞での受賞作ですが、これはJST(科学技術振興機構)が主催する事業です。JSTのホームページを見ますと、このシナリオ部門を受賞した作品は、BS-TBS、BS日テレ、BSフジと、BS各局が持ち回りでドラマ化しているようです。
このJSTとは、文部科学省管轄の国立研究開発法人で、大学などは、ここに頭が上がりません。なにせお金を握っておりますので。お金といったって国民の税金ですけど。そんな実質的な「お役所」の事業ですから、受賞したドラマのシナリオも優等生すぎて、あまり面白くない感じもします。
ラスト。祐斗は悟を連れて
二人の少年の友情は、薄味過ぎて。
口を聞いてくれなくなった悟に対する、祐斗の思いがテーマであるように思うのですが、30分という短い時間もあり、殆ど感動することがありません。高校生にしか見えない澤田怜央君と、小学生でも通用しそうな萩原利久君とのペアですので、BLの人には萌え要素もあるはずなのに、活用できていません。
フォークデュオの「さくらしめじ」の二人のようにベタベタしろとは申しませんが、もう少し友情を感じられるように描いてくれれば少年ドラマとして満足できたのに。(これは「科学ドラマ」ですので、少年ドラマではありませんと言われれば、それまでですけれど)
ただ最後のシーン、母親と悟が二人で先生に挨拶して帰ろうとするところ、祐斗が駆け寄ってきて、悟の手を握り、強引にお化け屋敷へ連れていくところ。ダスティ・ホフマンの名画「卒業」(1976年)のラストの花嫁強奪シーンを思い出せないことはありません。
再放送もなくDVD発売もないようですけれど、どこかでメディア化されるような事がありましたら、是非ご覧になって下さい。
まだ小学生でも通用する萩原利久君
>
お化け屋敷の中で、見つめ合う二人