トナリのウチュウ (2015年)

初回放送・製作 2015年・NHK-BS サイエンス・ファンタジー
作品評価 B+
お薦めポイント 何でもない原っぱにある宇宙と少年
関連情報など 映像関連の発売なし。
(写真は込江海翔君)


NHK-BSで、2015年10月13日に放送されたドラマです。サイエンス・ファンタジーと銘打っていますので、教育系の内容ですが、非常に良質な番組でした。2016年に公開された映画「ボクの妻と結婚してください」を見て息子役の少年に既視感があったのですが、本ドラマ主演の込江海翔君でした。という事で今回はドラマを紹介します。

公園で不思議な黒ネコと会った。主演の込江海翔君の目も猫みたい。

東京江戸川区の小さなの公園。元は私有地を区が買取って公園にしたのですが、普通の公園ではなく、自然そのままの原っぱにしたところ、昆虫や小動物の楽園になったそうです。以上は実話で、この公園を舞台に少年を主人公に科学ドラマ化したものです。(あまりストーリーはありません)

中学受験を迎えた少年(込江海翔)が塾へ行く途中の公園で、光るビー玉を見つけた。そこには不思議な黒猫がいる。少年は思わず公園に入っていくと、なんと黒猫が人間の言葉で話し始めたのだ。「俺は詩人だ」そう言って谷川俊太郎の詩を語り出した。

少年は黒猫をソラと名付けるが、いきなり老人(田中泯)の姿に変身。そして一緒に公園の中を探検。ビー玉に呪文を唱えると、猫の目線になったり、虫の目線になったり。そこへ更に少年の父親もやってきた。3人(正確には2人と1匹)で小さな公園の中の自然の営み、即ち宇宙を体感するのだった。

やがて少年と父は公園へ通うようになり、宇宙にのめり込んでいく。少年が抱える中学受験の辛さも、父親が抱える仕事の厳しさも、いつしか感じなくなっていった。気がつくと黒猫もビー玉も消えていた。でも2人はもう大丈夫。

 きれい過ぎてリアルさはありませんが、ファンタジーですから

自然の原っぱが、こんなにステキな空間だなんて。見たらそう思います。でも実際には、ヤブ蚊、蜂などの嫌な虫もいるし、変質者も出没するかもしれません(夢のない事ばかり言うなよ)

ただ作られた英国庭園のような世界ではなく、こういう原っぱも子供時代に経験する事は大切だと思います。ただ何でもかんでも自然第一、自然礼賛という価値観には全面賛成できません。人間が築いてきた人工の世界も素晴らしいものなんです。少なくとも私は原始時代には戻れません。

 少年と猫が素晴らしい

でも一番ファンタスティックだったのは、込江海翔君演じる少年。そして黒猫。なんか黒猫って不吉な印象を持っていましたが、ここへ登場する黒猫なら飼ってもいいかななんて。変身した老人役の田中泯さんもいい味出していました。

込江海翔君は声が素晴らしい。少年の声、セリフだけで癒されます。初音ミクみたいな萌え系女の子の音声合成はいくつもあります。「お帰りなさいご主人様」なんて可愛い声もいいのですが、少年の声で「おかえり父さん!」なんて喋ってくれるフィギュアがあっても(すみません、妄想の世界に入りかけました)

大きな起承転結がある訳でもない、90分近い番組ですので、退屈する人もいるかもしれません。でもこんな良質の番組ですから、NHKオンデマンドでも、できればブルーレイを発売して欲しいところです。

原っぱで捕まえた虫にも宇宙があるの?
ビー玉が急に輝きだした





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