少年時代 (2009年)

初回放送・製作 2009年6月21日・東海テレビ(フジテレビ系列)
作品評価 B+
お薦めポイント 郡上八幡の風景と小林廉君の笑顔
関連情報など 未メディア化。再放送もなし
(写真は堂々主役の小林廉君)


井上陽水氏の主題歌が有名な映画版ではなく、池永陽氏の同名小説を東海テレビ(フジテレビ系列)が、開局50周年記念番組として製作したものです。徹夜の盆踊りで有名な郡上八幡を舞台にした少年ドラマで、しっかりと作られています。

同じ郡上八幡を舞台とした映画『さよなら夏休み』もそうでしたが、少年が大人になるための通過儀礼が橋から川への飛び込み。本ドラマでも一つの象徴として、大きく取り上げられています。

そして何よりも小林廉君。彼のはじけるような笑顔が、これでもか、これでもかとアップで映されます。ドラマ部分はさておいて、郡上八幡の風景と彼の笑顔を見ているだけで十分な満足感を味わえますよ。

橋の欄干の外側に立った。もう後戻りは出来ないぞ、さあ飛び込め!

1969年(昭和44年)、岐阜県の郡上八幡が舞台。中学1年の良平(小林廉)は姉(村川絵梨)と母の3人暮し。中学では美術部に所属する、ごく普通の元気のいい少年だ。でも本来は小学生の間に成功しておくべき橋からの飛び込みが怖くて出来なかった事が少しひっかかっている。

そこへ東京から美人女性教師(佐藤江梨子)が赴任。なぜか良平の事をヒイキしてくれる、ちょっとエロっぽい先生。良平の友人が転校する事になり、最後の願いはクラス一の美少女のおっぱいを触ること(エロガキ!)。良平がその話を先生にすると、なんと先生が美少女に話をつけてくれた。これにはオチがありますけれど。

一方の美術部顧問(坂本昌行さん)女性ヌードを描きたいという、これまた危ない先生。彼がなんと良平の姉の絵を描き、それどころか姉は先生の子が宿ってしまった。良平は先生と姉なら結婚してもいいと喜ぶが、先生は卑怯にも大人の事情とやらで結婚できないと・・

姉は郡上八幡から姿を消し、美術部顧問も学校を辞め、なぜか赴任したばかりの女性教師も去り、ガールフレンドにも振られ、全てを失ってしまったような良平が走っていった先は橋の上。そのままの勢いで川へ・・

 君は愛され過ぎている・・

これは良平が女性教師との別れの際に言われた言葉。実際、母や姉はもちろん、この女性教師からも好意を持たれ、クラスの美少女からも告白を受けます。しかし良平本人は全く意に介しません。天真爛漫なのか、それとも単に鈍感なのか。

女性教師は続けて言います。「君から愛さなければ、大切な人は離れていくよ」この言葉が良平に伝わったかどうか判りません。ドラマでは結局、姉も先生もガールフレンドも全部失うのですが、その代りに橋から飛び下りて男の証明を獲得できたので、まだ大切な事に気づかずノホホンとしている気もします。

これは良平という役柄の話なのですが、演じている小林廉君自身もそんなタイプな感じです。本ドラマには姉や先生、同級生など超美女、超美少女も大勢出演。男優だってあのJ事務所の坂本昌行さんが出演しているのに、カメラは小林廉君の顔を舐め回すように撮影して、キラキラと輝く少年ぶり。きっと監督さんに愛されていたのだと思います。(まあ主役だから当然といえば当然)

そんなに大切に扱われている事を当時の小林廉君は判っていたのかどうか。(ある舞台で、子役の小林君と共演した女優さんのブログを読んだ事がありますが、小林君は騒ぐ、人の話を聞かない、扱いにくい子だったとか・・)

 それでも主役は主役

例によって、ネットで本ドラマの事を検索しても、感想などはほんの僅か。地方局製作の宿命なのか、再放送もDVD化もなく記憶から消えていくのみ。本ドラマに言及しているネット記事でも、主役の小林廉君は殆どスルーです。つくづく日本人は少年俳優に冷たいと思うばかり。(もちろん、ネットに書くのは特定の人たちだけですので、一般の方はそんな事は無いとは思いますけれど)

それにしてもドラマ「福助」も東海テレビでしたけれど、いい仕事をします。親局?のフジテレビは落ちぶれていますので、東海テレビが頑張って本作のブルーレイ化してくれたらなあ。余談ですが、懐かしいフレーズ「ハヤシもあるでよ〜」これは名古屋らしくて涙が出そう・・

一方で納得がいかないのは服装など。昭和44年の中学生なら、まず丸刈り。地域によるとは思いますが。(私はもう少し後の大阪府ですが、中1は全員丸刈り。中2で自由化。高校時代は反動で髪の毛は肩までとか。あの国際都市神戸の公立中学は平成に入るまで丸刈り強制だったとか)

それと下着。昭和44年の中学生であんなジーンズを履いているのは都市部でもおしゃれ。なのに「おそ松くん」のデカパンみたいなブサイクな下着はないのでは。まあ細かい事は抜きで、少年ドラマとしては有難い作品でした。

小学生時代に転校していった少女から手紙がきた。
夏祭りには郡上八幡へ来るので会って・・歓喜!
その少女と夏祭りの夜、憧れていた女先生が・・
見知らぬ男と抱擁している現場を見てしまった
(おまけに翌日、少女にもフラれてしまった)


美術部の先生と姉に子供が出来たのに結婚しない。
この卑怯な態度に良平は怒りをぶつける・・
姉が帰って来ない。心配する母の姿をそっと覗く
(この小林廉君の眼・・役者ですなあ)


「姉ちゃん知らない?」「俺探してくる」
母を安心させるため、無理に笑顔で振り返る・・
もう何だっていいや、どうだっていいや、飛び込もう
(しかし、このダサい下着は無いでしょう・・)



※後記
キャプチャー画像は、小林廉君のアップばかりになってしまいました。郡上八幡の風景とか、母や姉、友人たちのシーンもあるのですが、今回は省略です。またどこかで再放送された際には是非ともご覧になって下さい。





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