| 初回放送・製作 | 1980年・TV朝日テレビ系列 |
| 作品評価 | Ｂ |
| お薦めポイント | 森村誠一氏の原作を素直にドラマ化。少年達も熱演。 |
| 関連情報など | ｢傑作推理劇場｣第1話。未メディア化 （写真は優等生役の中越司君） |
森村誠一氏の原作｢魔少年｣は随分昔に角川文庫で読みました。悪魔のような問題児と天使のような優等生。しかし実際は...誰もが想像できる結末。原作で印象に残っているのは刑事の最後の言葉。
｢それにしても可愛い坊ちゃんですなあ｣
本作は見た事がありませんでしたが、2019年になって東映チャンネルで放送。録画して鑑賞しました。1時間ドラマですが結構お金をかけています。当時テレ朝の看板番組の西部警察のような爆破シーンまで。
5年後の1985年に土曜ワイド劇場「森村誠一の魔少年〜年上の愛人は情事の夜殺される」なんていかにも安っぽいタイトルのドラマがありました。森村誠一を語っていますが、母親を主役にしたよろめきドラマ。原作をかなり脚色したもの。有名子役だった加瀬悦孝君が出ていたのをかすかに覚えています。
ついに殺人事件まで。少年の投げた火炎瓶で車が炎上。運転手は死亡。彼が魔少年か！東京板橋区の小学校。4年生の正夫(中越司)は優しい優等生。ただテストの成績は総合では1位だが、全科目2位なので両親からハッパをかけれられている。一方、大野(大栗清史)は問題児。成績なんて(たぶん)下の下。クラスのみんなに嫌がらせばかり。勉強のできる子に交通量の多い道路を無理やり横断(一歩間違えたら死)させたり。
やがて事件が頻発。猫を焼却炉に入れたり、熱帯魚に毒餌をやったり、放火事件まで。大野少年が疑われたが決定的な証拠はない。一方の正夫。家庭教師と母親の不倫現場を見てしまった（ここで正夫が魔少年である事が露呈）。
正夫は大野少年に命じて家庭教師の車に火炎瓶を。車は炎上し家庭教師は死亡。
母親も同乗していたが奇跡的に軽症。大野少年は現場を目撃されてその場で補導。警察の取り調べ。これまでの事を全て告白。本当は優しい少年だった。正夫の父が経営する会社で働かせて貰っている障害者の父親を守るため、正夫の言う事に従うしかなかったのだ。
まさにJapan As No.1だった時代。そのキシミはまだ顕在化していませんが、今になって本作を振り返ってみると興味深い感じです。受験戦争。公立小学校でテストの成績1位,2位,3位の子に先生が手作りのメダルをあげるなんて...今なら批判が起きそう。
少子化なんて言葉もなく児童数も多かった（東京は今でも多いでしょうけれど）。正夫は全科目で2位。道路を無理やり横断させられたのは1位の少年。もちろん正夫が大野少年に命じた訳です。他人を蹴落とすのは競争社会の基本。いいか悪いかは私には判断できません。
団地というのもキーワード。本作の舞台は板橋区。高島平などマンモス団地も。飼ってはいけない猫。今はどうなんでしょう。焼却炉で焼かれた猫は哀れです。その焼却炉。かつては学校や職場で普通にあったのですが、ダイオキシン問題で姿を消しました。
家庭教師と母親の不倫。これもドラマでは定番。そんなのあったんでしょうかねえ。私も学生時代に合計7,8人の家庭教師をしました。志望校に合格したのは2人だけ。ハズレの教師なので、晩ご飯をご馳走になる事はありましたが、不倫なんて対象外だったんでしょうなあ..
関係ない事をダラダラ書いてすみません。1番の印象は子役の達者な演技。この頃は子役が登場する番組も多く、スキルが醸成されたのでしょう。大野少年役の大栗清史君、正夫役の中越司君。熱演でした。何よりも80年代の少年の服装がよろしい。
国語で1番になった少年
そのメダルを奪った大野少年。
何とか道路を渡り切った。
家庭教師を見送る母と正夫
大野君が事件を起した背後には
街で母と家庭教師の先生を見た。
2人の後をこっそり追うと..
正夫は大野君を呼びつけた。
正夫の命令で火炎瓶を作る
火炎瓶で車が大爆発！
車には母も同乗！慌てる正夫
警察で父親の胸で泣く大野君※後記
スカパーの東映チャンネルといえば視聴料が高いので敷居が高いイメージ。でも最近はぐっとお安くなっています。というかセレクト5という5番組1980円の中で選べるようになったのが嬉しいところ。しかもようやくCSでもHD放送に対応。最近では派悪怒組、魔隣組目当てに見ていました。カブタックとかも放送して欲しい（お前はいったいいくつじゃ..）。