サンキュー先生 (1980-81年)

初回放送・製作 1980年9月8日・TV朝日系列
作品評価 A-
お薦めポイント 産休補助教師の体当たり的な教育(今では無理かも)
関連情報など 全26話。DVD発売中。
(写真は石松先生のクラスの男子児童たち。)


小学校の教師ドラマは本当に数多くあります。女優も男優も教師役を演じて一人前みたいな風潮さえあったように思います。その中で地味ですが、私はこの『サンキュー先生』が一番とは言いませんが、大変気に入っています。(中学高校教師ドラマも数多くありますが、小学校とは少し違いがあると思っています。)

このシーンは石松先生の夢だった。(なかなか心を開かない児童と抱き合いたい...)

石松鈍器(西田敏行)は実家近くの小学校の産休補助教員として赴任。産休中の女性教師は近藤という児童に暴行を受けて早期出産。石松の最初の授業は模擬裁判。被告は近藤。児童がざわつく中、近藤に暴行傷害と殺人未遂を求刑。もちろん近藤に反省を促す事が目的だった。近藤は反省して石松を慕うようになった。

クラスの影のボス小池は反抗しながらも石松に心を開く。しかし東京へ転校。石松の型破りだが愛情に溢れる指導にクラスはまとまっていく。やがて前任者が復帰して石松は学校を去る。しかし事情が変って石松はまた復帰。卒業までクラスを担当する。そして春。児童たちは巣立っていった。


産休補助教員の任期は3ヶ月余り(事情によって前後)が基準との事ですので、今でいう生活の不安定な非正規労働者。本作の石松先生も正規教員を希望しながらも叶わず、渡りガラスのような生活。でも行く先々の学校で多くの児童たちに慕われ、ある意味、教師冥利につきる立場かもしれません。

もちろんドラマですので、現実の教育指導はこんな甘いものではないと思います。でも西田敏行さん演じる石松先生は、児童に対して突き放しと包容のバランス、児童との距離感が絶妙なように感じました。先生が絶対ではなく、失敗したりドジったりする部分も好感が持てました。

前半は児童たちとのエピソードが中心。いじめっ子。過保護な子。親父と確執する子。受験生。母親の再婚に悩む子など。みんな石松先生のサポートで、何らかの解決法を自ら見出していきます。この辺りはドラマですから予定調和ですが、それでも良くできていました。

児童とのエピソードは男女比7:3くらい。石松先生は体育会系でスキンシップが多めの指導。海岸や自宅に呼んで肩を組んだり。一緒の布団で寝るシーンもありました。しかし小6女子とスキンシップは当時でもNGだったのでしょう。今では男女関係なくスキンシップなんて出来ないのかも。

後半、小学校に復帰してからは石松先生のプライベートなエピソードが中心になり、児童たちの出番が減ってくるのが残念です。それでも爽やかなドラマでした。


第1話より。いじめられる子。
(みんな見て見ぬふり)
クラスを仕切るボスは小池。
(いじめも、全て彼の指示)
最後は石松に心を開いた。
しかし東京へ転校していった


第5話より。もやしっ子。
体育は見学ばかりだったが...
石松の作戦。社会見学先で、
もやしっ子を置き去りに。
クラスに馴染めない転校生。
石松は彼に寄り添う。


左端の子。最初は女子かと。
(おしゃれな髪型と服装)
身長が伸びてもお洒落な服。
母の再婚を拒否。石松先生は..
家出して石松先生の部屋に。
男子とはいえ同じ布団で?
しかも寝タバコ。コレハ アカンワ

第17話より。もてる少年は辛い。
(この回は女子同士の葛藤がテーマ)
隣のクラスの少年。受験に悩む。
ゲスト出演は前田晃一君。
(初代はっちゃくと父ちゃんの回も)
卒業間近。石松の家へ来た児童たち。
右の子、特撮番組で見たような。
(仮面ライダー スカイライダー)




※後記
本作のロケ地は小田原市。シンボルのお城が何度も登場します。私も何度か小田原に行きましたが、なかなか海岸へ出られないのが残念でした。
もう一つ。本作は国際放映の制作。はっちゃくシリーズなど良質な少年ドラマを多数制作してきたスタジオ。残念ながら今は番組制作はしていないそうです。令和の今だからこそ、未来の子どもたちに向けた良質な番組を作るスタジオが登場して欲しい。





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