基町アパート (2013年)
初回放送・製作 |
2013年8月24日・NHK |
作品評価 |
B+ |
お薦めポイント |
近未来的な高層団地と、そこに住む住人とのギャップ |
関連情報など |
DVD等の発売なし。(何回か再放送あり) 写真は加部亜門君。 |
広島市の中心部にある基町アパート。アパートと言っても、モダンアートのような高層団地。広島には、ほぼ毎年行きますが、ここは訪れた事はありません。住民の多くが高齢者で外国籍の方も多いそうです。
本ドラマは中国在留孤児で日本に帰還した方の厳しい生活の一端が伺えます。以上は真面目な話でした。ドラマの中に説明的なドキュメンタリーが挿入されていますが、押し付けがましさは感じません。そして主役は加部亜門君。まつ毛が長くで仔犬のような可愛さが爆発。
祖父の住む基町アパートへやってきた龍太。高層団地にびっくり。
東京の小学生龍太(加部亜門)は母子家庭。母の仕事の都合で、2ヶ月だけ広島の祖父(シー・チュン)の家で暮す事になった。祖父は中国残留孤児で日本語が殆ど話せない。龍太は戸惑うばかり。東京へ帰りたくなる。しかし隣室の少女リンリンが通訳をして龍太を助けてくれた。
リンリンは団地の外へ出た事がない。龍太は学校をサボってリンリンと2人で広島の街へ。路面電車に乗り原爆ドームや遊覧船に乗る。そして広島の悲しい歴史の一端に触れた。小学校の担任の先生から祖父などのことを聞いた。祖父も隠していた過去の悲劇を語る。龍太はお祖父ちゃんの事を理解し、心から好きになった。
祖父は日本人。中国人(龍太の祖母)と結婚して娘(龍太の母)が生まれ、そして日本へ帰国した。龍太の母は日本人と結婚したとすれば龍太はクォーター。でも龍太はその事実を何も知らなかったとの設定。龍太の母は「いつかは話す」つもりだったのでしょうけれど。
龍太は25%中国人なのに、100%日本人の祖父を中国人だといって毛嫌いする。なんか皮肉な形になりました。でも歴史の中で振り回されてきただけで、祖父にも龍太にも何も落ち度はありません。ただ言葉の壁が大きな影を落としています。
50歳を超えて日本語を習得するのはかなり困難。あと10年くらいすればAI技術が進歩して、自然な会話そのままの同時通訳がスマホで出来るようになるかもしれません。そうすれは世界の民族紛争の解決にも役に立つのではなんて。甘いですけれど...
祖父を演じたのはシー・チュンさん。中国の方でしょうか。迫力がありました。隣の少女リンリンもいい味を出していました。龍太とリンリンが授業を抜け出して、二人きりで、どこか遠く(広島の街)へ出かけようとするシーンが良かった。そして誰も知らない町のすみっこで...
広島の街。JR広島駅前が大きく変わり、路面電車も少し便利になるそうです。今度行った時は、基町アパートの方へも行ってみましょうか。
広島駅。500系新幹線をみて思わずポーズ。
(子供には人気。実際に乗ると狭くて今一つだった...)
お祖父ちゃんは中国人?で言葉が通じない。
もう東京へ帰りたくなった龍太。
隣室の少女リンリンは同級生。龍太を助けてくれた。
彼女の祖母も中国残留孤児だった。
学校さぼって龍太とリンリンは広島の街へ。
(同級生とは思えない身長差)
遊覧船に乗った龍太。でも顔色は冴えない。
原爆ドームで恐ろしい悲劇を聞いたせいだった。
祖父と龍太は次第に打ち解けあった。
最初は食わず嫌い。でも本場の中華料理は凄い!
銭湯で背中を洗って貰う龍太。
祖父はタオルで背中を隠す。大きな傷があった。
(満洲でソ連兵に刺されたが、死んだふりをして耐えた)
あっという間の2ヶ月。別れの日。
龍太はお祖父ちゃんに抱きついた。
※後記
基町アパートをネットで検索していると、まるで昔の香港の九龍城のような魑魅魍魎が跋扈する無法地帯を想像しました。これはヨタ話でした。申し訳ございません。
広島市を散歩していると「○町小学校」が目につきます。本作の団地の中にある基町小学校。ほかにも幟町小学校。袋町小学校。この袋町小学校には被爆時の資料を展示した資料館があります。被爆者たちが連絡先や状況を黒板に伝言として書いた文字跡が展示されており、身体が寒くなるようなショックを受けました。