カラフル (1999年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 7点
少年の出番 100%(堂々の主役)
お薦めポイント 罪を認識するため死から甦った少年。
映画情報など 1999年公開 DVD絶版(写真は田中聖君)


2010年のアニメ映画「Colorfulカラフル」が話題になりました。基本的にアニメは見ないので、特に関心もなかったのですが、同じ原作を「1999年に実写映画化されていて、これがなかなかの出来だよ」という話を、本サイト客員のノースエンド先生から聞いたのはつい最近。

しかし、ジャニーズ所属の方が主演と聞き、正直あまり気が乗りませんでした。それでもお借りしたDVDを再生すると、時間も忘れるくらい作品に集中。久し振りにいい映画を見ました。

映画を見た直後(2013年9月)、主役の田中聖さんがマスコミで話題に(あまりいい話題ではありません)。そんな現在のスキャンダルとは関係なく、この映画の田中聖さんは、素晴らしい少年俳優でした。

■ストーリー

映画の冒頭。ある少年のが高い空から町を見下ろしている。この少年は死んだのだが、罪を犯した。彼を導く天使(声だけ。しかもオヤジ)は「お前がどんな罪を犯したか知るため、もう一度人間に戻してやろう」

少年は、たまたま死んだばかりの見知らぬ14歳の少年、小林真(田中聖さん)の身体の中に入り、真は生き返った。少年には、真がどんな性格で、どんな考えを持っていたのか全く判らない。時々天使の声が最低限の事は教えてくれるが、周囲の人間には、まるで別人のように思われてしまった。

真は友達も少なく、目立たず、暗い性格で、なんと自殺を図ったのだ。やがて少しずつ真の事が判ってきた。美術部で絵を描いており、少ないけれど友人もガールフレンドもいたのだ。両親の秘密、兄との葛藤など、いい面も悪い面も見えてきた。

天使から「自分の罪を知り反省できなければ、魂は地獄に」と言われたが、少年は何をすればいいのか理解できない。しかし、真のガールフレンド達の言動や、真の描いた絵から、真の本当の気持ちが判ってきた。そして、とうとう気がついたのだった。自分はどんな罪を犯したのか。

レトロな短パン体操服
(しかもシャツin)
■もう一度、人間に戻る話

死んだ人間の魂が、何かの使命を与えられて、もう一度人間に戻る話は、映画でも珍しくありません。「椿山課長の七日間」なんてのもありました。だいたい、何かどんでん返しが用意されていますので、ミステリー感覚で楽しむ事ができます。

ただミステリーだけを重視した作品ならば、一度見てネタを知ると、もう楽しくないものです。そうではなくて、やはり「人生とは、死とは」など本質的な部分に絡んでくると、何度見ても得るものがありそうです。

本作品は後者でした。原作は森絵都さん(申し訳ありませんが、読んだ事はありません)、脚色はなんと森田芳光さん(有名映画監督でした。惜しくも故人)ですので、この辺りは本当に見応えのあるものでした。

■やはり主人公の少年の存在感が決め手。

脚本がしっかりしていますので、後は演じる俳優さん。本作品では、田中聖(たなか こうき)さんを主役に配したことは、大成功だと言っていいと思います。14歳。非常に微妙な年齢です。子供過ぎても、青年過ぎてもいけません。田中聖さんは、まさにちょうどピッタリの少年でした。

ジャニーズに所属されているくらいですから、元々ルックスは問題ありません。ふと見せる表情は、あどけない少年のものだったり、青年ぽい部分もあったりします。

一番良かったのは声。声変りはしていますが、まだまだ高い少年そのものの声が、ちょっぴり色気があって本当に良かったと思います。アニメの声優さんもやって欲しかったくらいでした。

ジャニーズ事務所というだけで、どうしても「演技は下手」ではないかという偏見を持っていましたが、そういう偏見だけで、この作品を見るのを排していると、人生にとっても損失です。とにかく映画は実際に見ないと!

父と釣りに。しかし思い出せない
教室にて(北村匠海君ではありませんよ)

■おまけ

本作品の中原俊監督さんの作品を見ると、どうも女優さんメインの作品ばかりのようです。しかし本作品では、少年俳優である田中聖さんの魅力を十分に見せてくれています。ジャニーズファンの女性向けなのでしょうか。ちょっと(お色気?)サービスカットもありますので紹介しておきます。

いきなり脈絡なく、ピンクのナース服に
スカートの裾をつまんで兄に迫ります
短パン体操服で派手にズッコケてくれました





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