ホ・ギ・ラ・ラ (2001年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 5点
少年の出番 100%(実質主役)
お薦めポイント 落合少年の眩しい肢体
映画情報など 2001年公開/DVD絶版(写真は落合扶樹君)


ずっと気になっていた映画なのですが、かなり酷評も多く、実質主演の落合扶樹くんのファンの方でさえ、評価は高くない感じです。そのため、なかなか見る気になりませんでしたが、最近ようやくレンタルで見ました。少年映画としては拾い物の傑作かも。(作品全体としては今一つですけど)

■ストーリー

舞台は2030年代の近未来、ある施設で家族が逃げてくる。逃げ切れない、息子だけは助かって欲しいと、少年をドラム缶に押し込んだ。よく見るとドラム缶は黄色で核廃棄物のマークが印されている。

ドラム缶は海に廃棄され、やがて少年(落合扶樹君)は目覚めて脱出し、ある無人島に漂着する。そこにはカヌララ(松尾光次さん)という青年と、キララ(緒川たまきさん)という美女に率いられた子供たちが暮らすホギララという島だった。

少年は記憶を失っており「ヌラ」と名付けられて一緒に生活をする。彼らの話すホギララ語も理解できるようになった。皆、ヌラに優しかったが、1人の青年がヌラを敵視して辛くあたる。ある日、その青年が世話をしていた少女が病気死んだ。その死因にヌラも恐怖を覚えるのだった。

そんな時、また若い女性が漂着し仲間に加わった。しかし彼女はスパイだった。彼女で手引きで政府の殺し屋が島にやってきたのだ。ピンチ!しかし全員で協力して殺し屋を撃退したが、リーダーのカヌララが発病して死んでしまった。その時、ヌラは記憶を取り戻した。僕は日本に生まれて、ある事故のために政府に抹殺されそうになったのだ。


山に咲いた花をとってあげる
手足が細い。でも美しい肢体
■正真正銘、落合扶樹くんが主役です!

クレジット上は、松尾光次さん、緒川たまきさんがトップにきておりますが、ストーリーでも映像でも落合扶樹くんが主役です。いやもっと言えば、落合扶樹くんのPV(プロモーションビデオ)とさえ思えるくらいです。その意味で、少年映画として満足度は十分でした。

ホギララの仲間になった時、それまで着ていた普通のTシャツとハープパンツを脱がされ、ダブダブのシャツと短い腰巻みたいなもの(何というのか判りませんが)と短パンに着替えさせられます。過去にあった事を忘れさせるためなんでしょう。

カメラは、その肌の露出度の高くなった落合君を、色々な角度から写してくれます。まるでグラビア女優さんのサービスカットみたいでした。それはさておき、落合君の演技力は安定しており、主役を張るのに遜色は全くありません。ただ脚本的には突っ込みたくなる箇所が山積でしたけど。

■その他の役者さんたち

リーダー役の松尾光次さん、映画を見た時は「爽やかなお兄さん」だったのですが、DVD特典のメイキング映像を見てやや失望。俳優さんではなくミュージシャンなのですが、コメントや姿勢に、映画への真剣さが足りないように思えて仕方がありません。(あくまでメイキング映像からの印象ですので、本当の姿かどうかは判りません。ファンの方、すみません)

緒川たまきさんには、本当に知性と気品を感じます。ただ、この映画のシテュエーションで、化粧もファンデーションも完璧すぎるのは不自然。あの無人島のどこに、あんな完璧なメイクのできる施設があるのでしょうか。(まあこれは洋の東西を問わず、女優さんの伝統ですから、細かい事は言いません)

ホギララにいたもう一人の少年も印象に残りました。パンフレットも公式サイトも、もうありませんので推定ですが、佐保祐樹くんだと思います。年齢は1歳上ですが、穏やかで味のある演技でした。もうちょっと出番が多ければ良かったのですが。(映画「ベースボールキッズ」でも落合君と共演。)

最後に、こう書けば元も子もないのですが、映画は全編ホギララ語?で日本語字幕でしたので、セリフの機微は、あまり関係ありません。これは下手な俳優さんには助かりますね。

頭の上のリンゴ。不安そうな顔
もう一人の少年。彼もいいのです

■毎度おなじみ、プロモーションについての苦言

DVDのメイキング映像は、ミュージシャンの松尾さん兄弟オンリーでした。多分、営業戦略として、彼らのファン層を取り込むためなんだろうと思います。ミュージシャンの件はどうでも構いませんが、どうして実質主役の落合くんのコメントやメイキングを入れてくれないのか、本当に残念でなりません。(そう言えば「ベースボールキッズ」でも無かった。)

監督は雑賀俊郎さん。2008年には、やはり少年映画「チェスト!」があります。そういう意味で、少年俳優を大事にされる方なんだろうと想像しますが、プロモーションについては監督さんの権限外なんでしょうか。マスコミや広告会社の人の意識が変わらない限り、日本の少年映画の未来は暗い。





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