お父さんのバックドロップ (2004年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 7点
少年の出番 85%(ほぼ主役)
お薦めポイント ほんの少し登場する故中島らも氏
映画情報など 2004年公開/DVD発売中(写真は神木隆之介君)


天才子役といわれた神木君が天才ぶりを発揮した作品です。幼いながらも、セリフや演技は、共演している大人(特に俳優でない芸人)なんかよりはるかに安定感があります。ストーリーは、洋画の「ロッキー」や「チャンプ」と同じで、目新しいものはありませんが、十分に笑わせて、泣かせてくれます。

幼いのに雰囲気を持った表情
■ストーリー

東京で母親と暮らしていた小学生の一雄(神木隆之介君)は、父親(宇梶剛士さん)の住む大阪へ一人で引っ越してきた。(原作では母親が死亡。映画では母親は生存)父親はプロレスラーだったが、一雄はプロレスが嫌いだった。

父は落ち目のレスラーで、ヒーローから悪役(ヒール)へ転向させられ、一雄はますます父のことを尊敬できなくなっていく。父は息子にプロレスの真剣さを伝えるため、一念発起して異種格闘技に挑戦する。もはや年でガタガタになった身体で、対戦するのは世界空手チャンピオン。ボロボロにやられながら、最後の必殺技はバックドロップ!

■原作は故・中島らも氏

破天荒な小説家「中島らも」の原作で、本人もヤク中なのか、アル中なのか、よれよれの散髪屋役で出演しています。しかし映画公開を待たず、階段から転落という、なんで?というような事故で夭折されてしまいました。関西風の妙な知性と毒?を持った作風が好きだっただけに残念です。

この映画も非常に気に入っており、主役の神木君を、目が溶けるほど可愛いなどとコメントしたそうで、本当に目が溶けて、階段が見えなくなって足を踏み外したのならば、神木君が間接殺人犯になってしまいます(もちろんジョークです)

■プロレスへの愛情は?

この映画のもう1つの主役はプロレスです。世の男性は、プロレス好き(というか愛する人)と、プロレス嫌い(あんなの八百長)の2つに分類されます。(スポーツ新聞もプロレス記事有無で分類)

支配人は後者でした。あんなの何で面白いのだろう、と眉をひそめる方でした。しかし最近のK1など、もっとリアルな戦い、闘争心をあおるものが好まれる、殺伐とした時代になってみれば、プロレスはなんと平和で、健全なんだろうと思います。

主人公の父、宇梶剛士が黒人空手家に挑みますが、その時みせる、昔ながらのプロレスの構え方には、涙が出そうになるほど、格好よく思えました。

■面白いんだけど

これを観たのは渋谷シネアミューズ、満席で窮屈だったけれど、神木君は可愛いし、吉本芸人のお笑いも面白いし、後味も爽やかなんだけれど、どこか物足りない。やはり同じ時期、同じシネカノンから配給された「誰も知らない」病に冒されていて、単なる娯楽作品では満足できない身体(頭)になってたんだと思います。神木君の映画作品ではこれまでのところでベストだと思います。

右側は大阪の少年役の田中優貴君。
(彼も神木君に負けない演技力の持ち主)
プロレス事務所の非常階段で話す二人。
(非常階段の恋?なんて。ロマンチック)





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