田口ランディ氏原作。トラウマのような心象を表現した少し不気味な作品でした。ただ正確に言えば少年映画ではないかもしれません。しかも第2部に入れるのはどうかとも思いましたが、少年俳優のインパクトがあまりに強烈だったので、ここに入れています。
オカルト的なテイストを持ったサイコドラマ。大学生の祐一郎(加瀬亮さん)は、子供の頃、妹が失踪してしまった責任への罪悪感がトラウマとなって、M的な性癖がしみついている青年。風呂の中で、ナイフで自分を傷つけたり、風俗店で「SMの女王様」に痛めつけられるのが趣味。
母親も妹が失踪してから、おかしくなっているが、ある日「妹が帰ってくる」と騒ぎ出し、それに感化された小学生の弟、祐弥(木崎大輔君)も、おかしくなって精神病院に収容される。弟はなんとか回復して家に戻るが、以降、母親は彼を女装させて「妹」として扱う。
祈祷師やTV取材など色々ゴタゴタがあった後、ある嵐の夜に、加瀬青年はトラウマの原点となる記憶がよみがえり、それとシンクロするように母親も正気を取り戻し、弟はアンテナに登ることで、自分に架せられた重しを取り除く。(う〜ん、文字で書いても何のことやら。ストーリーはつかめませんねえ。できればDVDを観て下さい)
この映画は厳密には少年映画でないかもしれません。木崎君はクレジットでは3番目ですが、そんなに出番は多くはありません。しかし、この映画出演時の木崎君は、その容姿も声も、日本映画で1,2を争う美少年であったと思います。(あくまで私の主観ですが)
その彼が、スカートをはかされ、最後は女の子の下着1枚になって、アンテナに登るシーンは、この映画のクライマックスの1つです。ただこの作品を最後に子役はやめたようです。DVDのメイキング映像にも少ししか出ていないのも残念です。
マゾヒストを演じる加瀬さんは、あまりに迫真の演技のため、本当に彼はマゾじゃないかと思い、気持ち悪くて、あまり好感は持てませんでした。しかしその後、メジャー作品には出ませんが、芸術系や独立系の作品にどんどん出演し、演技派の若手男優として活躍されています。
ストーリー的には共感できる作品ではありませんが、どこか心に引っかかる作品でした。最近になってまたスカパーで観たのですが、やはり気になります。何といっても木崎君が美形です。俳優を止めたのかもしれませんが、映画は後世まで残ります。皆さんも機会があれば、ぜひ鑑賞して下さい。(ただし精神的に不安定な状態の時は、観ない方がいいかもしれません。)