ふるり (2005年)

少年映画評価 8点
作品総合評価 6点
少年の出番 90%(準主役)
お薦めポイント 全てが明かされる感動のラスト
映画情報など 2005年製作/2011年公開/DVD発売中
(写真は本郷奏多君)


2011年10月15,16日、福山シネマモード1(広島)、シネマ尾道(広島)にて2回鑑賞しました。

第1回お蔵出し映画祭が映画の街、尾道市を中心に10月14から開催されました。一説には年に100本もの映画がお蔵入りになるそうですが、そんな埋もれた作品を発掘しようという本当に素晴らしい企画です。更に素晴らしいことに、2005年からずっと待ち焦がれていた映画「ふるり」がノミネート。

映画祭事務局の方のアナウンスでは全国から37作品の応募があり、最終的にコンペティション部門に残ったのは7作品だけとのこと。あいにくの曇り空の中、広島県福山市の会場へ。目的の「ふるり」は16:00からですが11:30には会場へ到着。整理券を貰おうと受付へ行ってびっくり。整理券はなく1日券1500円を買えば出入り自由とのこと。

金銭的には嬉しいのですが、座席を確保できる保障がないので、ここは心を決めてこのまま席に居座ることに。13:00から映画「宮城野」を鑑賞。しかし、こんな配慮も意味がありませんでした。ガラガラなんですよ会場は。座席の2割がいいところ。こんな素晴らしい企画なのに。

さて、これだけ期待に期待を重ねてきた映画の内容ですが、それなりに満足は出来ました。ちょっと期待が大きすぎた、なにせ6年ですから。幻の映画でしたから。

公式サイトの壁紙。「不思議天使」なんですね
■ストーリー

ネタばれしない程度にストーリーを書きますと、スチュワーデスになる夢が破れた女性(小山田サユリさん)は毎日を惰性で生きている。その前に現れた不思議な少年(本郷奏多さん)からナゾナゾを出される。全問正解すれば夢を1つだけ叶えてあげる。

少年の高飛車な態度に反発しながらも、女性はナゾナゾにのめり込んでいく。そして最後のナゾナゾにかかる頃、女性にとって少年が無くてはならない存在になっていくが、その時、少年の正体が明らかに。それは涙しかなかった。

■長年の夢が叶いました

本郷君がこの映画のキーである事は間違いありません。もう最後の10分ほどは、切なくて切なくて、いい年をして涙が止まらなくで困りました。本当に終盤は神がかった出来かもしれません。

ただ、この映画の主役はあくまで小山田サユリさん演じるOL。全て女性の視点で物語が進行する訳です。前半は本郷君の出番も多くはありません。なので男性の私には感情移入しにくい部分があります。小山田サユリさんは大変魅力的な女性であり相当な熱演ですが、脚本的にやや空回りの部分もあり、どうしても盛り上がりません。

この直前に見た映画「宮城野」に比べると映画の密度の点で明らかに劣ります。これは困ったなあ。コンペ部門1位作品は正式公開の権利が付与されるとの事で「ふるり」が1番になると勝手に信じていたのに、これはピンチ。

やがて上映終了。小出監督と小山田サユリさんの2名が登壇。小山田さんは目を見張るほどの美人でした。現在は台湾在住という監督のお話があり、今回も「不思議小天使」という副題のついた台湾公開版のフィルムを持参との事でした。(中国語の字幕がやや目障りでした)

観客からの質問タイムがありました。東京のティーチインでは(仕込みの人かと思うくらいに)簡潔、かつ的を絞った立派な質問をする人が多いのですが、さすがは地方会場。何を言っているのか判らない話を延々とする人がおり、スタッフもハラハラ。

ただ監督も会場の方も話題は本郷奏多君のエピソードばかり。主演の小山田サユリさんに失礼ではないかとも思いましたけれど。小出監督も少年役のオーディションで本郷君を見た時は「人形」かと思うほど美形だったとか。

見返り美少年。本当にイケメンでした
全ての謎が解るラストシーン。風景が素晴らしい


福山市での「ふるり」鑑賞を無事果たしたのですが、コンペ部門1位は無い。今後日本で公開される事も無い。という悲観的な思いから、翌日の尾道市で2回目の上映も見ることにしました。この日は福山市に宿泊。翌朝、電車で尾道へ。

大林監督の「あの夏の日」を思い出す素晴らしい快晴。尾道の坂や路地を思いっきり散策し、尾道ラーメンを食べた後、シネマ尾道という映画館へ。2回目の上映は1回目よりも観客は多かったのですが、それでも座席の5割くらいでしょうか。映画は2回目の方が感動できました。せめてDVD化くらいはして欲しい。何とかならないのでしょうか。

<追伸>
第1回お蔵出し映画祭で「ふるり」は観客賞を受賞したとのニュースがありました。私も1票を投じたんですよ。エッヘン。
(本郷さんの幼い頃のCMにエッヘンがありました。知っている人は知っている)





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